デジタル庁の関連事業である東京五輪向けアプリを、平井卓也デジタル相(63)の大口支援者が経営し、かつて平井氏も株式を保有していた企業のグループ会社が、約6億6千万円で受注していたことが、「週刊文春」の取材でわかった。

 五輪向けアプリの事業費を巡っては、NECが契約から外れるなど大幅に削減されたが、この会社は減額されていなかった。また、平井大臣は、この企業の株を保有していたことを「資産等報告書」に記載していなかった。資産公開法に違反する疑いがある。さらに、この株の売却益が「所得等報告書」に記載がないこともわかった。

 平井氏が保有していたのは、IT関連企業「豆蔵ホールディングス」(東京都新宿区)の株式8400株。同社は、荻原紀男社長(63)が1999年に創業した会社が前身で、2004年に東証マザーズ、2013年に東証一部への上場を果たした。

 最近では、豆蔵ホールディングスのグループ会社「ネクストスケープ」(東京都新宿区)が、内閣官房IT総合戦略室が開発を担う東京五輪向けアプリを再委託先として6.6億円で受注。同アプリの受発注を巡っては、平井氏がIT総合戦略室の幹部らに「NECを干す」などと指示し、その後、NECが実際に契約から外れたことも物議を醸している。

 一方で、豆蔵ホールディングスは2013年から2017年にかけて毎年60万円、計300万円を平井氏が代表を務める自民党香川県第1選挙区支部に献金していた。

 平井氏によれば、2006年6月に豆蔵ホールディングス株を14株購入。その後、株式分割により保有株数が8400株となり、2020年3月に同社のMBO(経営陣による自社株買い)に応じ、全ての保有株式を売却したという。

 ただ、国会議員は、任期が始まった時点で保有していた資産を資産等報告書で公開することが資産公開法で定められている。

 しかし、平井氏は2014年12月の総選挙後に公開された資産等報告書、ならびに2017年10月の総選挙後に公開された資産等報告書に、豆蔵ホールディングス株の保有を記載していなかった。

 政治家の資産公開に詳しい九州大学の斎藤文男名誉教授が指摘する。

「(保有株を)『資産等報告書』や『資産等補充報告書』で報告していなければ、資産公開法違反に当たります。理解に苦しむ報告の仕方ですから、特定の個人との関係など何かを隠す意図があったのではないでしょうか」

 平井氏は以下のように回答した。

「資産等報告書等については確認の上、必要があれば修正する考えです。(荻原氏からは)ルールに則った形でご支援を頂いています。(ネクストスケープの五輪向けアプリの受注など)政府調達については、関係法令に基づいて手続きがなされているものと承知しております」

 7月7日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」及び7月8日(木)発売の「週刊文春」では、平井氏と荻原氏の蜜月ぶりをはじめ、豆蔵ホールディングス側から平井氏側への政治献金、平井氏がメッセージを寄せた荻原氏が会長を務める政治団体のパーティの様子、豆蔵ホールディングス株の資産公開に関わるもう1つの疑惑などを詳報している。

文春オンライン
7/7(水) 16:12配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/201df84c4c74e912806afc39f6277264291a504e