【ワシントン=田島大志】米国のバイデン政権は東京五輪への高官派遣について大詰めの検討に入った。政権内では、開会式にジル大統領夫人を出席させる案が浮上している。

 バイデン大統領は12日、英国で菅首相に万全の新型コロナウイルス感染対策を施した上での開催を支持する考えを示し、「五輪精神の伝統の中で戦う選手団を誇りに思う」と伝えた。歴代大統領には開会式で米国代表団の団長を務めた例もある。バイデン氏の出席は見送られる方向だ。

 1998年の長野冬季五輪の際はゴア副大統領が来日し、2018年の韓国・平昌五輪にはペンス副大統領が開会式に出席した。今回、日本政府にはハリス副大統領の来日に期待する声がある。ハリス氏はアジア系初の米副大統領で、日米外交筋は「実現すれば、ハリス氏にとってアジアデビューの格好の舞台となるはずだ」と語る。

 ただ、ハリス氏は政権内の懸案である不法移民問題を担当しており、今月、初の外遊で中米を歴訪したばかりだ。移民問題を巡る共和党からのハリス氏への個人攻撃も強まっており、アジアへの外遊は難しいとの見方が政権内にある。

 そうした中、有力候補に浮かび上がっているのがジル夫人だ。ジル夫人は今月、先進7か国首脳会議(G7サミット)で外交デビューを果たし、意欲的に活動した。12年のロンドン五輪ではオバマ大統領のミシェル夫人が開会式に出席した例もある。

読売新聞
2021/06/22 07:01
https://www.yomiuri.co.jp/world/20210621-OYT1T50210/