https://news.yahoo.co.jp/articles/ead5db4f05bf05a2add5b0878dcfec55464204b4
かつて軍事独裁政権が支配していた韓国では、政府が「パルゲンイ(=赤い奴、共産主義者)」のレッテルを利用し言論を封殺してきた。1987年の民主化で韓国社会は言論の自由を得たが、今再び言論封殺の影が忍び寄っている。

【画像】文大統領が告訴した男性がまいたビラがこれ!

軍事独裁下で弾圧の対象とされた「共産主義者」に代わる新たなレッテルは「親日派」だ。保守系知識人からは「反日公安統治が進みつつある」との警鐘が鳴らされている。韓国の民主主義は後退するのか?
「親日」を理由に自国民告訴を正当化した大統領

4月29日、韓国メディアは文在寅大統領が韓国国民を侮辱罪で告訴していたと報じた。告訴されたのは2019年、ソウル市内で文大統領を批判するビラをまいた34歳の韓国人男性だ。警察は4月28日、この男性を「侮辱罪で起訴すべき」との意見を付けて送検した。

男性がまいたビラには、文大統領やその側近たちの親などが親日だったという内容が書かれ、裏面には「北朝鮮の犬、韓国大統領文在寅の真っ赤な正体」という日本の週刊誌の記事が印刷されていた。

侮辱罪は被害者が告訴することで初めて罰する事が出来る親告罪だ。つまり、大統領本人かその代理人が刑事告訴していた事が分かったのだ。大統領が、自分を批判した自国民を刑事告訴していたという事態に、韓国メディアからは「独裁国家のようだ」との批判が上がった。

これに対し大統領府は「大統領個人に対する嫌悪と嘲弄が問題ではなく、日本の極右週刊誌の報道を無差別的に引用するなど国の品格と国民の名誉、南北関係など国家の未来に及ぼす害悪を考慮して対応をした」との声明を発表。大統領の指示を受けて告訴を取り下げた。

注目すべきは、「日本の極右週刊誌の報道」を引用した事を殊更取り上げ、大統領が国民を告訴したことを正当化している点だ。

大統領府はさらに「今後明らかな虚偽事実を流布して政府への信頼を意図的に毀損し、外交的問題に飛び火する恐れのある行為は、少なくとも事実関係を正すという趣旨で、個々の事案に応じて慎重に判断して決定する」とも述べ、さらなる告訴もあり得るとの「警告」まで発したのだ。
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(略)