新型コロナウイルスの感染状況や五輪開催をめぐり、内閣官房参与を務める高橋洋一・嘉悦大教授が9日、ツイッターで世界各国の感染者数を比較するグラフとともに「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」と投稿した。日本の感染者数の低さを示すためとみられるが、ネット上で反発が広がっている。

 このツイートに対し、「ウチの母親も『この程度のさざ波』の中で亡くなったんですよ」「一人ひとりの命が失われていくことに対し、笑笑って…人の命をなんだと思ってるのですか」などの批判的なコメントが相次いだ。

 高橋氏のツイートについて加藤勝信官房長官は10日の記者会見で、「個人としての発言で、政府としてコメントは従来差し控えている」と説明した。記者団から高橋氏が内閣官房参与を続けることが妥当かどうかを問われると、加藤氏は「高橋参与は経済、財政政策に関して意見を述べていただく非常勤の職だ。それにのっとって対応していただくことが非常に大事だ」と述べるにとどめた。

 高橋氏は元財務官僚で、菅義偉首相就任後の昨年10月、内閣官房参与に任命されている。大型連休中の今月4日にも、首相公邸で首相と面会している。

 新型コロナをめぐっては、国内の死者数は4月に1万人を超え、感染者数も9日時点で64万人以上にのぼる。医療体制が逼迫(ひっぱく)し、病床が足りなくなっている地域では、自宅待機中に死亡する事例も続出している。(菊地直己)

朝日新聞
2021年5月10日 14時52分
https://www.asahi.com/articles/ASP5B4TMTP5BUTFK015.html