https://news.yahoo.co.jp/articles/d7249dcadcebb60cf212ae13dc89ea517e8a2904
 4月17日、韓国防疫当局は、新型コロナワクチン接種に使われる予定だったドゥウォンメディテック社製の注射器70万個を回収すると発表した。事の発端は、2月27日に同社製の注射器に異物が混入されているのが見つかったこと。その後も異物混入の報告が相次ぎ、問題は21件にも上ったため、同社は自主回収に乗り出した。韓国防疫当局の判断は、それを受けてのものだ。

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 韓国で新型コロナワクチンの接種に使用されている注射器は、ドゥウォンメディテック社製と新亜洋行社製の2つである。韓国疾病庁は、ドゥウォンメディテック社から2750万個、新亜洋行社から1250万個、計4000万個のLDS(Low Dead Space/最小残留型)注射器の供給を、今年7月末までに受ける契約を結んでいる。

 LDS注射器は、通常の注射器と比べて1瓶あたり1〜2回分多く接種できるなど、貴重な新型コロナワクチンを無駄にすることがないとされている。

 しかしワクチンを無駄にしない注射器であっても、異物が混入していては意味がない、それどころか、今回のこの問題は、ワクチン政策における韓国の失敗を多方面からあぶり出していると見られる。世界に向けて「K-防疫」をしきりにアピールする韓国。その実像に迫っていこう。
自分が使う注射器はちゃっかり…

ワクチンを接種される文在寅大統領[Photo by gettyimages]

 文在寅大統領は3月23日に1回目のワクチン接種を受けている。最初の異物混入報告から1か月後ほど経った頃である。

 文大統領の1回目の接種に使われた注射器は、新亜洋行社製だった。新亜洋行社のLDS注射器は米国食品医薬品局(FDA)とEU加盟国からお墨付きを与えられており、米国に月250万個を輸出するが、異物混入問題が起きたドゥウォンメディテック社は海外の認証を受けていない。大統領の身体に何かあってはいけないと考えたのか。万が一のことがあったら大変という意識の表れなのだろう。

 そもそも韓国政府は新型コロナワクチンの接種を開始する直前まで、国内企業のプンリム・ファーマテック社から注射器を購入する予定だった。文大統領が、2月18日にプンリム・ファーマテック社を訪問して注射器を視察し、「K-防疫の優秀さを改めて示してくれた」と激励した。

 そのプンリム・ファーマテック社の注射器は1本当たり約78〜97円前後だったが、政府が契約した2社の注射器は1本当たり約9〜10円で、大幅なコストダウンとなる。実際、防疫当局関係者が「プンリム・ファーマテック製品は高くて国内の接種には使用できなかった」とコメントしたと韓国メディアが報じている。

 急遽、仕入先を変更したわけだが、結果は先述の通りの回収騒動となった。安かろう悪かろうと言われても仕方のない決定が仇になった。

 一方、そのプンリム・ファーマテック製の注射器も、保健当局の許可がないまま新工場の生産設備を1カ月以上も稼働させていた疑惑が4月23日に浮上した。何ともお粗末な大統領の激励になったのだ。

 もっとも日本政府も同社に約8000万本の購入要請を行っているので、他人事ではない。
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(略)