3度目の緊急事態宣言の決定後に開かれた4月23日の首相会見には、抽選で当たった日刊ゲンダイ記者も参加した。例によって挙手しても当ててもらえなかったが、当日、書面の質問を送ったところ、同28日に首相から回答があった。回答からは新型コロナから子どもを守る「決意ゼロ」の姿勢が鮮明になったため、解説する。(取材・文=生田修平/日刊ゲンダイ)

【本紙(日刊ゲンダイ)質問】
 変異株の登場で子どもの感染割合が増えています。例えば、変異株が流行の8割を占める大阪府では、第3波(昨年10月10日〜今年2月28日)では、10代未満が2.7%、10代が7.3%でしたが、府で確認された変異株陽性者に限ると、それぞれ6.0%、12.9%に跳ね上がっています(14日公表の府の資料)。変異株の登場で子どもの感染割合が増えているとの認識はありますか。

 今月、大阪府豊中市の新田小学校では教職員の陽性判明後、濃厚接触者でない1人の児童の感染が確認され、濃厚接触者に限らず全児童875人を対象にPCR検査を実施したところ、12人の児童の陽性が確認されました。もし、全児童の検査をしていなければ、12人の医療的なケアも遅れ、また12人から感染が拡大していた可能性が十分あります。

 新田小学校のクラスターを教訓に、陽性者が出た学校の全員PCR検査、および、陽性者が出てない場合でも、定期的なPCR検査を行い、「予防」していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 また、感染を警戒し、自主休校を余儀なくされている児童も少なくありません。対面授業とオンライン授業を選択できる環境を整え、推進していく考えはありますか。12歳未満のコロナワクチンはありません。コロナから子どもを守るのは大人の大きな責任だと思います。コロナから子どもを守る菅首相の決意を教えてください。

【首相回答】
〇N501Yに変異のある変異株については、感染力が従来株よりも高いことが指摘されていますが、英国で行われた調査では、子供が大人よりも感染しやすいというエビデンスはないとされています。

【解説】
 首相は英国の事例を出していますが、英国は強いロックダウンと休校を行い、積極的なワクチン接種を実現しています。ドイツやスウェーデンなど子どもの感染率が高い国もあります。

〇なお、変異株に係る報告数が相対的に限られる中で、当初、10歳未満の集団でクラスターが確認されたことから、変異株の年齢別感染者割合が、特に10代未満で従来の傾向と比較して高い値(3月16日時点で15%)となっていましたが、現在は減少してきています(4月26日時点で5%)。

【解説】日刊ゲンダイは、変異株が8割を占める大阪の最新データを示していますが、スルーしています。子ども対策をしない理由になる事例や数値だけを取り出すのはいかがなものか。

〇検査については、感染が疑われる方など検査が必要と判断される方がより迅速に受けられれるようにするとともに、必要に応じてより広く検査が実施されることが重要と考えており、例えば、集団活動が行われる場などにおけるクラスター発生時の検査については、濃厚接触者に限らず、幅広い接触者を対象に検査を行っていただくようお願いしております。

【解説】日刊ゲンダイは、新田小学校の事例を挙げ、学校検査の必要性を問うています。既知の一般論を言われても困ります。

〇また、今般実施する定期的・集中な検査は、重症化しやすい方を対象に、重点的に検査を実施するものであり、重症化リスクが高い高齢者施設等を対象とし、地域の感染状況等に応じて実施を要請しております。なお、子どもについては、変異株であっても、高齢者のように重症化しやすいというエビデンスは現時点ではありません。

続きはWebで

日刊ゲンダイ
2021/04/30 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/288604