https://news.yahoo.co.jp/articles/5c65c13f148a6aee0c5a8bac65f4419c85648f57
 日本政府が福島第一原発で生じた処理水の海洋放出を決定したのは4月13日のことだった。これに対して韓国政府は遺憾の意を表明し、14日には、文在寅大統領が国際海洋法裁判所への提訴を検討するよう指示したという。しかし裁判になれば“敗色濃厚”という意見もあって、ますます身動きが取れなくなってきたとも言われる。

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 以降、韓国では日本に対する批判報道が絶えない。国内では日本製品不買運動が再燃し、ソウルでは新品の日本車が断続的に損傷されるなど、怒りの矛先は日本製品を使用する自国民にまで及んでいる。

 そんな中、不買運動を煽り、処理水海洋放出反対の波に乗って、自分たちの地位を確立させようとする団体の存在が浮上してきた。大統領のお墨付きを水面下で得ているのだろうか、違法との指摘をものともせず、日本大使館前でデモを続ける団体についてご紹介しよう。
デモを主導しているのは学生団体

 日本大使館前では16日から学生たちによる座り込みデモが行われているが、このデモを主導しているのが「日本放射能汚染水放流阻止大学生緊急デモ団」なる団体だ。
日本大使館前での行為は、慰安婦像の設置同様ウィーン条約に違反している。また、許可なしでの座り込みは韓国の法律違反にもあたる。

 この「大学生緊急デモ団」は抗議書を渡すために大使館への進入を試みたものの警察に阻止され、その後は大使館前の路上で座り込みデモを続けている。違法行為が始まった当初は警察もこの団体を抑え込もうとしていたが、どこからか政治的な圧力がかかったのか、現在は取り締まりを放棄した状態となっている。

 このデモを主導している「韓国大学生進歩連合」は、1980年代の学生運動を主導していた「全国大学生代表者協議会」を受け継ぎ、1993年に「韓国大学総学生会連合」という名で立ち上げられた左派団体である。

 団体発足後は、北朝鮮擁護・韓国右派批判の世論扇動喚起を目的として活動を行っていたために、韓国の大法院によって“利敵団体”との判決が下されたことがある。この団体による行為は、国家保安法が禁じる不法情報に該当するとも指摘されている。

 大法院によって“利敵団体”と判決が下されたのち、団体のホームページは閉鎖、団体も解散されたと見られたが、2018年には他の左派団体と合併し、以降は現在の「韓国大学生進歩連合」を名乗り活動を続けてきた。

 団体設立当初から掲げていた活動目的である“北朝鮮の擁護”は、団体の名称が変わった今でもしっかりと受け継がれている。極めて危険だと見られている団体だ。

 今回のデモは北朝鮮に関係のないものだ。韓国国民に比較的受けのよい“反日行為”によって国民に改めて浸透し、支持を得たのち、本来の目的を達成しようという魂胆を感じるのは、うがった見方だろうか。

 同じく16日には「民衆共同行動」の関係者30名も、処理水の海洋放出を批判するプラカードを手に日本大使館周辺を取り囲むデモを行っていた。

 「民衆共同行動」とは、2018年に「全国民主労働組合総連盟(民主労総)」、「民主露天商全国連合」、「全国撤去民連合」など52の市民団体を糾合して誕生した団体だ。2016年に朴槿恵(パク・クネ)政権退陣の引き金となった“ろうそく集会”をご記憶の方は少なくないだろうが、これを引き起こした「民衆総決起闘争本部」の後継団体に当たる。

 だから、当時は文在寅(ムン・ジェイン)政権を樹立した“1等功臣団体”と呼ばれていたのだが、文政権誕生から1年経った2018年に新団体を立ち上げた。その際の記者会見では「文在寅政府が掲げた100大課題のうち39が全く改革されていない」と批判、以降この団体は文統領批判のデモを行ってきた。国内情勢に合わせて立場をコロコロと変える、いわばカメレオン団体と言えるだろう。
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(略)