菅義偉(すが・よしひで)首相は16日、新型コロナウイルス特別措置法に基づき首都圏1都3県に発令している緊急事態宣言について、期限となる21日で解除する方針を固めた。17日に関係閣僚と方針を確認したうえで、記者団に表明する考えだ。18日に専門家でつくる基本的対処方針等諮問委員会に解除方針をはかり、了承が得られれば同日中に対策本部で正式決定する。首相は衆参両院の議院運営委員会や記者会見で今後の対策を説明する。

 政府が首都圏での宣言解除の方針を固めたことで、1月7日に発令された宣言は全面解除されることになる。首相は16日夕、官邸に関係閣僚を集め、病床や感染の状況を分析。病床使用率が改善傾向にあることを確認した。

 加藤勝信官房長官は同日の記者会見で「これまでも1都3県を全体として対応してきた。そうした経緯も踏まえ検討していく」と語り、1都3県を一体で判断する考えを重ねて示した。

 政府高官は16日夜、解除後の課題について「気の緩みだ」と指摘。全面解除後も感染防止策の徹底を呼びかけた上で、病床確保に向け都道府県の調整を促す。

 今国会で成立した特措法では、飲食店の営業時間短縮を要請・命令できる蔓延防止等重点措置を新設した。ただ、政府高官は宣言解除直後の適用には否定的な見解を示した。

 一方、知事側には温度差がある。東京都の小池百合子知事は16日、「さまざまな分析をしている」と明言を避けた上で、都内の感染者数が下げ止まりの状態にあるとして「どこかでまた跳ね上がることを一番懸念している」と語った。


 神奈川県の黒岩祐治知事は15日、「解除の方向が良い」と表明。埼玉県の大野元裕知事は同日、「現状では解除を要請する段階にきていない」と語った。千葉県の森田健作知事は16日「国には適切な判断をしてほしい」と述べた。

産経新聞
2021.3.17 01:22
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