新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言中に新聞記者らと賭けマージャンをしたとして告発された黒川弘務・元東京高検検事長(64)について、東京地検特捜部は、来週にも賭博罪で略式起訴する方針を固めた。関係者への取材で判明した。いったん不起訴処分(起訴猶予)としていたが、検察審査会の「起訴相当」議決を受けて再捜査し、方針を転換した。

 2020年12月の東京第6検察審査会の議決によると、黒川氏は20年4月13日〜5月14日に産経新聞記者宅で計4回、記者ら3人と、1000点を100円に換算する「点ピン」で賭けマージャンをしたとされる。

 特捜部は20年7月、賭博罪の成立を認めつつ、同種事例と比べて賭け金も多額とはいえないなどとして、記者ら3人とともに起訴猶予とした。これに対し審査会は、黒川氏は東京高検検事長として刑事罰の対象となる違法行為を自制、抑止する立場にありながら社会の信頼を裏切ったとし、不起訴は誤っているとした。

 関係者によると、特捜部は再捜査で黒川氏から改めて事情聴取。「記者からみて黒川氏は取材対象者で、賭けマージャンを中止できる立場にあった」とする審査会の指摘を重くみて、方針を固めた模様だ。黒川氏も略式起訴の方針に同意しているという。【志村一也、二村祐士朗、国本愛】

毎日新聞
2021/3/13 06:00
https://mainichi.jp/articles/20210312/k00/00m/040/306000c