政界に飛び火するのか。全国の私立幼稚園の約9割が加盟する「全日本私立幼稚園連合会」で、巨額の資金が使途不明になっている事件に永田町は戦々恐々だ。

 連合会では9日に理事会が開かれ、2017年から19年度の3年間で少なくとも3億2000万円の使途不明金があると発表した。連合会の収入源は、会員幼稚園からの会費や寄付金だ。20年度にも8000万円超の現金引き出しが確認されていて、使途不明金の総額は4億円を超えるとみられる。

 昨年9月の監査で通帳などが提出されず、11月に再び監査しようとしたところ、当時の香川敬会長が辞任。その後も弁護士らによる調査を進めたところ、香川前会長は使途不明金が発覚しないよう、複数の銀行口座の通帳を偽造していたことも分かった。連合会は「基金が理事会の承認なしで取り崩された」として、前会長の刑事告訴も視野に入れているという。

■関連団体の最高顧問に森喜朗元首相

 関連団体の「全日本私立幼稚園PTA連合会」でも数千万円の不正流出を確認。PTA連合会は森喜朗元首相が最高顧問、河村建夫元官房長官が会長を務めている。

「幼児教育の無償化を自民党に強く要請してきたのが香川前会長です。とりわけ清和会と縁が深く、連合会の全国大会には安倍前首相や森元首相、下村博文元文科相らが参列、スピーチしていました」(政界関係者)

 香川前会長は山口県で幼稚園を運営する学校法人の理事長で、県の公安委員も務めていた。調査に対し通帳の偽造は認め、「個人的な資金の流用はない」と話しているそうだ。では、巨額資金はどこへ消えたのか。刑事事件になれば、不透明なカネの流れが解明されるか。

日刊ゲンダイ
2021/03/10 14:10
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