ごくたまに抜群に面白いツイートを見かけることがある。たとえば、大阪維新の会による2月17日のツイート。

〈【お知らせ】我が党では、昨今の深刻化するデマ情報の氾濫を受け、住民の皆様に正しい情報を知っていただけるよう情報の真偽を客観的事実をもとに調査し、事実を発信していく公式ファクトチェッカーを開設しました。見逃せないデマ等御座いましたら情報提供ください〉

これには声を上げて笑ってしまった。これまで散々社会にデマを垂れ流してきた集団が「ファクトチェック」を行うという。盗人猛々しいというか、なんの冗談なのか。

 大阪維新代表の吉村洋文はこれについて「ネット上のデマが出回る傾向が強い。特に“維新憎し”でいろんなデマが匿名で出回る。それがリツイートされたり、拡散されて、あたかも本当かのように情報が出回ってしまう。これはよくないと思う」「組織として対応していこうという判断」と説明。

 独立した第三者ではなく特定の政党が「ファクトチェック」を始めるというのも異常極まりないが、ネット上の情報を事実なのかデマなのか確定させること自体は大事なことである。

 そこで私も大阪維新に15件ほどファクトチェックを依頼した。

〈2015年5月17日の大阪市住民投票直前になると、橋下徹は「都構想の住民投票は1回しかやらない」「賛成多数にならなかった場合には都構想を断念する」と明言したという話は事実ですか、デマですか>

 大阪維新がばらまいた嘘が並べられたビラや目盛りをごまかした詐欺パネルなどについても画像をつけてファクトチェックを依頼したが、おそらく連中は検証すらしないはずだ。その目的は正当な批判をデマと決めつけ世論操作することと、都合の悪い事実の発信者に対しスラップ訴訟をちらつかせながら恫喝することだろうからだ。

 ここのところ問題が発生すると組織の責任者が居丈高になって「問題を追及すべきだ」「責任を明らかにしなければならない」などと言い出すケースが増えてきた。本来なら、頭を下げる側の人間であるにもかかわらず。そして世論やメディアと一体になって「改革者面」「被害者面」を始める。こうした茶番の先駆けが大阪維新である。

日刊ゲンダイ
2021/02/27 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/285720