「8時間で250人書き写した」愛知リコール署名偽造、バイト男性は「人気案件」と証言(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース
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愛知県・大村秀章知事の解職請求(リコール)を求める署名活動で、43万5千筆の83%に不正が疑われている。
問題をめぐり、佐賀県内の貸し会議室で名簿の組織的な「書き写し作業」が行われていたと報じられた。

このアルバイトに参加した男性が、BuzzFeed Newsの取材に応じ、
「最低賃金が低い佐賀では人気案件だった。運営側はとにかく『はやさ』を求めていた」と証言。
「不正に加担し、反省している一方で怒りも感じている。個人情報やお金の出どころについて、説明をしてもらいたい」とも語った。

「ボールペンが安物だったようで、すぐ手が痛くなりました。僕が書き写したのは、8時間で250人ほど。人数を覚えておくぐらいしかモチベーションがなかったので…」
リコール署名を書き写すアルバイトに参加した九州地方の20代男性は、BuzzFeed Newsの取材にそう語る。
現場は佐賀市内にある建物の会議室。定員は最大80名だ。
男性が午後に到着すると、「会議室はぎゅうぎゅうになっていました」と振り返る。
新型コロナウイルス対策なのか、ドアは開放され、廊下からも中の様子がうかがえた。机がずらりと並び、様々な年齢層の人たちが黙々と手を動かしていた。

「数日前のバイトでは、この時間で(署名が)数千人になっていました。いまは遅れていますよ」と発破をかけられた。
男性は「執拗に『はやく』と、焦っていたのが気になりました。字の綺麗さは二の次でした」と述懐した。
リコール署名の収集期限は、多くの自治体で10月25日。
男性が作業に参加したのは、その直前だった。

■経緯を振り返る
リコール署名は、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長の呼びかけで昨年8月にはじまった。
名古屋市の河村たかし市長も協力し、全国的な注目を集めた。
一方、県選管は今年2月1日、提出された署名約43万5000人分のうち83.2%が有効と認められなかったと発表。
うち90%は同一の筆跡とみられ、48%は選挙人名簿に登録されていない人の署名だった。
県選管は2月15日、地方自治法違反の疑いで、愛知県警に被疑者不詳で刑事告発し、受理された。
このほか、自らの名前を利用されたとする県内の市議らや、「何者かが偽造署名で妨害した」と主張する高須氏も、それぞれ名古屋地検に告訴している。
なお、高須氏や河村市長は一連の不正への関与を否定している。 ←★笑

そんななか、西日本新聞と中日新聞は2月16日、愛知県民らの名前や住所が書かれた名簿を、多数のアルバイトがリコール活動団体の署名簿に書き写していたと報じた。
名古屋市の広告関連会社の下請け会社が募集し、佐賀県内で実施されたものだったという。

■ぎゅうぎゅう詰めの会議室で黙々と…
マッチングサイトに掲載された求人情報
不正に関わるとみられる求人が掲載されていたアルバイト情報マッチングサイトを運営する都内の企業は、BuzzFeed Newsの取材に
「署名偽造に関連すると思われる求人が過去に存在していた」と認めた。
サイトに求人情報が掲載されたのは昨年10月22〜24日のあいだ。
「未経験者大歓迎!佐賀市で名簿の書き換え作業!!」と呼びかけており、時給900〜1000円、交通費は500〜1000円だった。
業務内容は「名簿の書き換え作業をお願いいたします。データをお渡しするので、それを元に修正を行っていただく」
「行政からのご依頼になるので、お名前・住所・電話番号を一定期間管理させていただきます」と明示されていた。

取材に応じた20代の男性も、このサイトを通じてバイトに参加した。
「最低時給が800円もしない佐賀県では、時給900円や950円は相当な好条件。
 ひたすら書くだけの単純作業であれば、なおさら割がいいと感じ、応募しました。枠がすべて埋まる『人気案件』だったと思います」

「最初にこのアルバイトを口外してはいけない、と名前と住所つきの誓約書を書かされ、携帯などの私物はビニール袋に入れて一番後ろの机に置くよう指示されました」

案内された机上には、愛知県の人たちの住所の記されたA4サイズの名簿、そして高須院長や河村市長の顔写真が載っている署名紙と、ボールペンがあった。
そのときはじめて、県知事リコール署名に関連した作業であると気がついた。
「リコールのため、佐賀で、しかもコロナ禍で大規模の作業をすることに違和感は覚えましたが、
 恥ずかしながら勉強不足で、このような作業も正式に必要なのだな、佐賀は賃金も安いからだな、と思った程度でした」