東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視とも取れる発言について、国連女性差別撤廃委員会が関心を示していることが5日、撤廃委委員を務める亜細亜大の秋月弘子教授への取材で分かった。秋月氏が国外の撤廃委委員から、森氏の発言について照会を受けた。秋月さんは「撤廃委は、日本に根深いジェンダー差別が残っていると考えるだろう」と指摘した。(柚木まり)

◆日本の女性取り巻く実態尋ねられる
 秋月さんによると、他国の女性委員から5日に連絡があり、海外でも数多く報道されている森氏の発言を含め、日本の女性を取り巻く実態を尋ねてきた。
 日本政府は、来年にも撤廃委に女子差別撤廃条約の履行状況について審査を受ける見通し。秋月さんに問い合わせてきたのは日本を審査予定の委員。秋月氏は今回の照会があったことを、外務省にも通知した。

◆「参加を辞退する選手が出てくる可能性も」
 秋月さんは、大会組織委の作業部会座長としても、ジェンダー平等に配慮した大会準備を進めてきた。秋月さんは取材に「世界は森氏の発言を許さないだろう。参加を辞退する選手が出てくる可能性もある」と懸念。「森氏の発言は、日本の現状をよく表した事例。私たち一人一人も無意識の偏見がないか自問すべきだ」と語った。
 秋月さんによると、撤廃委の中には昨年12月に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画の中で「選択的夫婦別氏(別姓)」の文言を削除した点が、ジェンダー平等の後退との指摘もあるという。

東京新聞
2021年2月6日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/84302/