1月2日、緊急事態宣言の発令を要請するため、神奈川、埼玉、千葉の県知事と共に西村康稔経済再生担当相と会談した小池百合子東京都知事。だが、その指揮下で東京都のコロナ対応を担う福祉保健局において、昨年1年間で80人もの退職者が出ていたことが、「週刊文春」の情報公開請求によってわかった。

 小池氏は昨年7月の都知事選で「東京iCDC(感染症対策センター)」設立を公約の目玉に掲げ、その司令塔として福祉保健局に健康危機管理担当局長を新設。ところが、

「新局長に起用された岩瀬和春氏は就任直後から体調不良を訴え、わずか1カ月半で交代した。8月末には医師免許を持つ感染症危機管理担当部長が退職。小池氏のトップダウンの指示に振り回され、音を上げる職員が続出しているのです」(都庁担当記者)

 小誌が昨年11月25日、都庁ホームページで公表されない一般職員の退職者について福祉保健局に情報公開請求したところ、12月17日に回答があった。すると、コロナ禍が始まった2020年1月以降、同局の定員である4200人のうち、76人の一般職員が退職していることが判明。これらは定年退職や勧奨退職を除いた数字であり、多くが自己都合退職と見られる。公表されている幹部4人の退職を合わせると、昨年1年で80人が退職したことになる。

 都庁OBで人事課長の経験のある澤章氏が指摘する。

「都庁職員は給料が良く、人間関係に悩めば出先機関もありますし、退職すると不思議がられる職場環境です。福祉保健局はコロナの前から多忙な部署だったとはいえ、この退職者の数は多過ぎる印象があります」

 都庁職員の平均年収は約721万円で全国の都道府県庁の中で最も高い。2018年度の総務省調査でも、地方自治体全体の離職率1・6%に対し、東京都庁は1.3%。一方、昨年の福祉保健局の退職率は1.9%となり、それらを明らかに上回っている。

 福祉保健局は「(退職者とコロナ対応との関係は)不明です。退職理由は個人情報のためお答えできません」と回答した。

 1月7日(木)発売の「週刊文春」では、小池氏への対応に追われる都職員の様子や、福祉保健局の激務の内容などについて詳報する。

文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/42710