新型コロナウイルスの変異種発見を受け、政府は26日、全世界を対象に10月以降とってきた二つの出入国緩和策を28日から一時停止すると発表した。すでに英国と南アフリカは対象から除いていたが、除外対象を全世界に広げる格好だ。停止期間は来年1月末までとするが、感染状況次第で延長する可能性もある。

 感染状況が比較的落ち着いている中国、韓国、ベトナムなど16カ国・地域を対象として、双方の合意を前提にビジネス関係者の入国を受け入れている仕組み(現在は11カ国・地域と実施)は維持するため、外国人の新規入国を完全に止めるわけではない。入国拒否の例外として、人道上配慮が必要な例や外交官ら「特段の事情」がある外国人も引き続き入国を認める。

 政府は来夏の東京五輪・パラリンピックで全世界から観客を受け入れようと、出入国緩和を進めてきた。来春にはインバウンドの回復に向け、感染症対策を施した小規模分散型ツアーの受け入れも検討している。変異種が国内でも発見されたことで、政府の出入国緩和策は抜本的な見直しを迫られる可能性がある。

 政府は英国や南アフリカを含む約150カ国・地域について外国人の入国を原則拒否する一方、6月から段階的に出入国緩和を進めてきた。10月からは厳しい条件のもと、中長期の滞在者を中心に、全世界からの新規入国受け入れを再開。11月からは短期の海外出張から戻る日本人や、海外から再入国する日本に在留資格のある外国人について、行き先を問わず帰国後の2週間待機を免除してきた。

 だが変異種の発見を受け、今月28日からは、10月と11月から実施してきた出入国緩和策の枠組み自体を停止する。さらに今月30日からは、変異種が発見された国から帰国する日本人について、出国の72時間前までに陰性を確認した証明書の提出を求めるなど、検疫体制を強化する。政府によると、変異種が発見された国は26日現在、英国と南アフリカのほか、イタリア、アイスランド、豪州など9カ国。

朝日新聞
12/26(土) 23:45配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/d108ee78830af08e61878497324778285ec7a355