安倍内閣で農相を務めた西川公也・内閣官房参与(77)が、鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の元代表(87)から2018〜19年、現金数百万円を受け取っていたとみられることが、関係者への取材で分かった。西川氏は8日付で参与を辞任。東京地検特捜部は、現金の趣旨を慎重に調べているもようだ。

 アキタ社の元代表を巡っては、自民党の吉川貴盛元農相(70)=衆院北海道2区=が農相時の18年10月〜19年9月の間、3回にわたり現金計500万円を受け取った疑いがあり、特捜部が捜査を進めている。
 西川氏は栃木県議などを経て、1996年の衆院選で初当選。内閣府副大臣や農林水産委員長を歴任し、14年9月〜15年2月、安倍内閣で農相を務めた。17年10月の衆院選で落選したが、翌11月、首相のアドバイザー役となる内閣官房参与に任命され、菅内閣でも再任された。
 加藤勝信官房長官は8日の記者会見で、西川氏から「一身上の都合」として参与退任の申し出があったことを明らかにした。内閣官房は同日、西川氏の退職を発表した。
 アキタ社の元代表らが18年11月、農相だった吉川氏を大臣室に訪ね、家畜のストレスを少なくする「アニマルウェルフェア(動物福祉)」を巡る国際機関の厳格化案に反対する要望書を出した際、西川氏も同行していた。
 特捜部は今年7月、昨年の参院選広島選挙区を巡る河井克行元法相夫妻の買収事件の関係先として、アキタ社の本社を家宅捜索。元代表はその前日、西川氏らを自社のクルーザーで接待していたことが判明している。
 西川氏の事務所は本紙の取材に、現金受領について「分からない」と答えた。アキタ社は「お答えできない」としている。

東京新聞
2020年12月9日 05時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/73226/