新型コロナウイルスの感染拡大で激減したインバウンド(訪日外国人客)の回復をめざし、政府は来春にも、海外から小規模分散型のツアーを受け入れる検討に入った。入国禁止措置の例外として認め、一般観光客の入国緩和は来夏をめざす東京五輪・パラリンピック後とする。ツアーはオリパラとその後に向けた「実証実験」と位置づける。

 各ツアーが1カ所に集中しないよう分散させ、ツアー客には貸し切りバスで移動してもらうなど感染防止策を徹底する。中国や台湾など感染状況が落ち着いているアジアからの受け入れを想定するが、実施時期や対象地域は国内外の感染状況を見極めて決める。

 政府は入国後の2週間待機を前提に全世界からの入国を緩和するなどしてきたが、観光客の入国は認めていない。日本政府観光局(JNTO)によると、ビジネス関係者らも含めた10月の訪日客は前年同月より約99%減り、13カ月連続で前年の実績を下回った。

 インバウンド推進は菅義偉首相の肝いり政策で、政府はコロナ後も「2030年に訪日客6千万人」の目標を堅持する。一方で「観光客を入れて感染が広がると、オリパラが開けなくなる」(政府高官)として、五輪前に同ツアー以外の観光客の入国は認めない。オリパラの観客を全世界から迎えた後、一般観光客の受け入れを段階的に再開するのが政府の描く道筋だ。

 このため五輪前にツアーを試行…

朝日新聞
2020年12月6日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/ASND56R24ND4UTFK02C.html