ヘイトスピーチに全国初の刑事罰を科す川崎市条例に基づく有識者審査会は十六日、市から諮問を受けたネット掲示板やブログへの投稿延べ四十五件を「不当な差別的言動」と認め、削除要請と趣旨の公表を「適当」とする答申を、福田紀彦市長に提出した。市は今週中にも、掲示板とブログの運営者四者に対し、投稿の削除要請に踏み切る方針。 (安藤恭子)

 四十五件の投稿は、複数の人物の投稿を載せるいわゆる「まとめサイト」やそのコピーサイト、ブログへの書き込み。この日公表された答申の概要によると「日本から出て行け」といった地域社会からの排除をあおる趣旨のほか、「寄生虫そのもの」「○○(朝鮮人の蔑称)は石ころで頭をぶち割ればいい」「ぶっ殺して地獄に落とす」といった侮蔑や危害の告知の趣旨の記載が含まれている。

 ネット上のヘイト表現について削除を求める審査会の答申は今回で二回目。福田市長は「スピード感をもって審査いただいた。市も呼応する形でしっかり対応していきたい」と話した。

 ネット上のヘイト書き込みを巡っては、市内在住の在日コリアン崔江衣子(チェカンイジャ)さん(47)が五月以降、三百件を超える被害を市に申し立てていた。市は十月、条例に基づいて初めてツイッタージャパン社に投稿二件の削除を要請する措置をとったが、市によると当該の投稿は今も削除されていない。

東京新聞
2020年11月17日 07時36分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/68850/