任命拒否の問題で、かなりのメディアが「かつて政府は任命を“形式的”なものとした」と報道した。

一例として、10月2日、朝日新聞の電子版が配信した記事の見出しだけをご紹介する。

「学術会議『首相任命は形式的』内閣官房幹部、過去に答弁」というものだ。

「これは1983年の審議録に記載されているもので、中曽根内閣の時でした。

確かに首相が会員の任命を行うのは“形式的”だと答弁しています。ところが、

当時と2004年以降では会員候補の選出方法が異なっています。それを無視して議論を進めるのは誤解を招くのではないでしょうか」

1949年の設立からは科学者による大がかりな選挙で選出されていたという。だが、組織票の問題が浮上。

1984年に学会ごとに候補者を推薦し、それに基づいて総理大臣が任命する方法に変わった。

実は、「選挙」から「推薦」に変更したのが中曽根内閣だった。

何度も報じられた“形式的”という説明は、この問題を国会で話しあっていた時に飛びだしたものだ。