日本維新の会が党是に掲げる「大阪都構想」はついに実現するのか。それとも、大阪市民から2度目の「あかん!」を食らうのか。その是非を問う住民投票の投開票が11月1日に迫り、反対派に逆転リードを許す維新は手当たり次第に締め付け。匕首を突きつけられた格好の公明党は組織票のかき集めに死に物狂いだ。一体どうなることやら。

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 最終盤にかけて反対派の追い風になっているのが財政問題だ。大阪市財政局の試算の結果、市の4分割により行政コストが年に約218億円増えると報じられた。コスト増を否定してきた維新代表の松井市長は「報道機関の誘導に従ってつくったあり得ない数字。虚偽だ」などと激怒。馬場幹事長もケンカ腰で、29日の衆院本会議の各党代表質問ではのっけから都構想に言及し、「26日の毎日新聞夕刊が重大な誤情報を1面トップに掲載した。あってはならない事態だ」と大騒ぎ。その直後、東山潔財政局長が緊急会見。松井市長から「虚偽」「捏造」と指摘されて考えを改めたとし、「当初はスケールメリットの参考になると思って算定したが市長の指摘を受けて捏造だと認識した」などと謝罪を繰り返した。

「財政局はマトモな職員が大半で、アンチ維新が少なくないから、都構想に懐疑的。最後に筋を通そうとして試算をメディアに提示したものの、松井市長に烈火のごとく怒られ、撤回に追い込まれたんや」(市議会関係者)

 松井市長の矛先は賛成派に寝返らせた公明にも向かう。18日に大阪入りした公明の山口代表は松井市長らと街宣車に乗り込み、JR大阪駅前などでマイクを握って「賛成、賛成ですよ。賛成と入れて」と訴えたものの、世論調査では公明支持層の賛成が伸び悩む。27日に維新の鈴木宗男参院議員が菅首相と会談したあたりから、公明に対する圧力が一層強まったという。

「27日午後に大阪創価学会の幹部連中50人ほどが集められ、活動が足らへんと上からキツくハッパをかけられたんや。市内に選挙区を持つ全議員は地区役員や支部長、地区部長にくまなく電話。賛成票を入れに行くよう、必死で下までおろしとる。都構想のメリットを4点に集約したチラシを作成し、配布も徹底。印刷されたQRコードをスマホで読み込めば、山口代表のビデオメッセージに飛べる仕掛けも作っとった」(公明関係者)

31日は公明の北側一雄副代表が市内各地で街宣。学会員に異例の事前告知があったという。

「山口代表は梅田など3カ所も街宣しとった。ここまでやれば十分やろうと学会員に告知せえへんかったのに、維新がやかましいから北側副代表の街宣には動員をかけたんや。学会票を1票でも多く賛成に回さないかん」(前出の公明関係者)

 投票箱が締まる瞬間までヒリヒリした戦いは続く。

日刊ゲンダイ
2020/10/31 14:30
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