今年の年末年始は、前代未聞の“大型連休”になりそうだ。23日、西村康稔経済再生担当相が、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために年末年始の休みを1月11日の成人の日まで延ばすよう、企業に要請すると発表した。

 来年は1月3日が日曜のため、本来、仕事始めは翌4日。6連休のはずだった。ところが、12月29日(火)から1月11日(月)まで休みとなると14連休となる。12月28日(月)も休んでしまえば一気に17連休である。さっそくワイドショーは「年末年始17連休案が浮上!」と大騒ぎしている。17連休となったら、どんなことが起きるのか。

 正月休みを1月11日まで延長して欲しい理由を政府は、「初詣などによる人出が三が日に集中することを防ぐため」としている。しかし大型連休となったら、多くの国民が国内旅行やレジャーに繰り出し、むしろ感染が拡大するのではないか、と懸念する声が強い。実際、感染拡大を防止するなら、初詣の自粛を呼びかけた方が効果が高いはずだ。

 1月11日まで休みを延長することについて、第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストはこう言う。

「休暇の延長によって、外出需要が増えると考えられる上、Go To キャンペーンを実施しているので、人出が減るとは限らず、感染の抑制につながるかは疑問です。加えて、2週間もマーケットを開かなければ、株価が下がる可能性もあります。社会的な影響への考慮が不十分ではないでしょうか。業態ごとに分散休暇を促すなど、他にも方法があるはずです」

 17連休となったら、日払いで働いている労働者の収入が激減してしまう恐れもある。10連休となった令和元年のゴールデンウイークの時も、非正規社員の困窮が大問題になった。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。

「政府の本当の狙いは、感染防止よりも景気拡大でしょう。令和元年の10連休の時も、個人消費が刺激されています。しかも、Go To キャンペーンを実施しているので、国内旅行に出掛ける人が相当数になるはずです。ただ、格差を拡大させることになると思う。時間とカネがあり健康に自信がある人は、17連休を満喫するでしょう。一方、生活苦で旅行どころではない貧困層や感染が怖い高齢者は税金を使ったGo Toの恩恵を受けられない。大型連休によって感染が拡大するという最悪の事態も考えられます。しかも、令和改元時の10連休で一時的に消費は活発になったが、その反動で7、8月は消費が落ち込んでいます」

 降って湧いた17連休に浮かれていたら、とんだしっぺ返しを食らうことになりかねない。

日刊ゲンダイ
10/24(土) 13:45配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/b3ecf79797065760b343e150758b485e84f4cffa