昨年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪に問われた参院議員、河井案里被告(47)の公判が19日、東京地裁(高橋康明裁判長)で開かれた。検察側は、夫で元法相の衆院議員、克行被告(57)が、案里被告への投票を呼びかける「電話作戦」を指揮するなど選挙運動全体を統括していたとする陣営スタッフの供述調書を朗読。選挙運動が禁止された投開票日にも克行被告の指示で電話作戦を実施したといい、「選挙違反だと思った」とした。

 検察側は、克行被告が選挙運動全体を取り仕切る「総括主宰者」に当たるとして起訴している。

 陣営スタッフの調書によると、克行被告は参院選公示日にスタッフから電話作戦で使う原稿を示された際、「大変厳しい戦いになっております」との一文を追加。「投開票日は天候が悪くなる」と期日前投票の依頼を指示するなどし、スタッフは「選挙はがきの郵送を含め、全体を克行被告が統括していた」とした。

 また、案里被告の競合候補だった自民党の溝手顕正・元国家公安委員長の悪評をインターネット上に流すなどの工作を依頼されていた業者が、選挙違反の疑惑発覚後に克行被告から「(パソコンのデータが)流出したらまずいので消したい」などと相談されたとする調書も読み上げられた。検察側は、克行被告が夫妻の現金提供先を示す「買収リスト」を作成し、自宅などのパソコンに保存していたとしている。

産経新聞
2020.10.19 19:38
https://www.sankei.com/affairs/news/201019/afr2010190021-n1.html