これじゃあアリバイ答弁に利用されるだけだ。

 日本学術会議が推薦した会員候補6人を菅首相が任命拒否した問題で、同会議の梶田隆章会長と菅首相が16日、首相官邸で会談した。

 菅首相に学術会議の総会で了承された任命拒否「撤回」を求める要望書を提出し、約15分の会談を終えた梶田会長。直後の記者団の囲み取材で、菅首相から拒否の理由や経緯の説明があったのかどうかを問われると、こう答えていたから驚いた。

「今日はその点について、特にご回答を求める趣旨ではないので、そこについて明確などうこうということはない。学術会議の決議文はお渡ししたが、未来志向で、学術に基づいて社会や国にどう貢献するかについてお話した」

 いやいや、これでは一体何のために会談したのか。梶田会長は「日本学術会議は政府から独立して学問をベースに発信していく組織であることを譲るべきではない」と話していたはず。そうであれば、学術会議トップとして直接、菅首相に理由を問いただす絶好の機会だったのではないか。「ご回答を求める趣旨ではない」ではないだろう。

「官邸側はこれで『シメシメ』と思っているでしょう。予算委などで野党が学術会議問題を追及しても、菅首相が『いや、梶田会長には理解してもらいましたから』などと逃げることができるからです」(野党担当記者)

「丁寧に説明」といって丁寧に言うだけで説明しない。「会う」と言って会うだけで説明しない。これも安倍前政権から続く「負の継承」なのだろう。

日刊ゲンダイ
20/10/16 17:20
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