https://news.yahoo.co.jp/articles/b4a9f97c074a6d2f6b158e5d42842e7323d8d9d6
迷走する学術会議の問題

写真:現代ビジネス

 日本学術会議問題で、私は先週のコラムで「野党にブーメラン」と書いたが、まさに、そんな展開になってきた。野党は追及のロジックを見い出せず、菅義偉政権の意思決定プロセスくらいしか、問題にできないのだ。なぜ、こうなってしまったのか。

【写真】常識外れの学術会議、有用な研究を潰し「学問の自由」を侵害していた…!

 立憲民主党の蓮舫代表代行は10月14日の会見で「誰のための任命拒否を、誰がどの権限で行ったのか、がまったく分からない。その部分はまさに、密室政治そのものではないか、と思っている」などと語った(https://cdp-japan.jp/news/20201014_0077)。

 自民党は学術会議の在り方を検討するプロジェクトチームを立ち上げ、初会合を開いた。これについて、蓮舫氏は「自民党も政府も、躍起になって論点ずらしをしているとしか思えない。まったく間違っている」と強調した。

 そのうえで「日本学術会議の組織そのものに、百歩譲って課題があるとしても、今やらなければいけないのは、なぜ任命拒否をしたのか。その経緯の再検証が最優先だ。日本学術会議法に『内閣総理大臣が推薦に基づいて任命する』とある条文を、なぜ守らなかったのか、杉田官房副長官が人選に関与していたのか、違法行為があったのか。これに尽きると思っている」と指摘した。

 この発言を見れば、追及が袋小路に入ってしまったことが分かる。
密かに論点を変えた野党の事情

 立憲民主党は当初「学問の自由に対する国家権力の介入であり、到底看過できるものではありません」などと拳を振り上げていた(https://twitter.com/CDP2017/status/1311962717364736002)。だが、これでは「刺さらない」とみたのか、決定プロセス問題に矛先を変えてしまった。

 それはなぜかと言えば、先週のコラムで指摘したように、学問の自由を脅かしていたのは学術会議自身だったことが、バレてしまったからだろう。北海道大学の奈良林直名誉教授が国家基本問題研究所に寄稿し、同大のM教授の研究について学術会議が圧力をかけ、研究を辞退させていたことが明らかになったのである(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76267)。

 奈良林氏は当初「学術会議幹部は北大総長室に押しかけ、ついに2018年に研究を辞退させた」と書き、私も先週のコラムでそのまま紹介したが、その後、同氏は「幹部が総長室に押しかけた」部分を削除し「学術会議からの事実上の圧力で、北大はついに2018年に研究を辞退した」と訂正した(https://jinf.jp/weekly/archives/32608)。

 それでも、圧力で研究を辞退させた事実は変わらない。

 私は、この「北大事件」を「夕刊フジ」の連載コラムでも取り上げているが、夕刊フジ編集部の取材に対して、学術会議の広報担当者は「何をもって圧力なのか分からない」などと答えている。実に苦しいコメントである。詳しくは、本日10月16日に発売される夕刊フジをぜひ、ご覧いただきたい。

 北大事件の最大のポイントは「学術会議の誰が、どのように圧力をかけたのか」「北大側は誰が応対し、なぜ圧力に屈してしまったのか」という点である。私は「M教授が研究を辞退しないと、学術会議は北大の学者を学術会議の会員に推薦しないぞ」と脅したのではないか、みている。


(略)
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