逃げ回るのはいい加減にしてほしいものだ。

 菅首相による日本学術会議会員の任命拒否問題で、排除する会員6人を決めたのは杉田和博官房副長官の可能性が限りなく高まっている。事務方トップとはいえ、杉田氏に学術会議会員の任命に関して何ら権限がないのは言うまでもない。明らかに学術会議法に触れる違法行為だろう。

 野党側は杉田氏の国会招致を求めているものの、自民党は「国会の前例」を盾に拒否。同党の森山国対委員長は14日、立憲民主党の安住国対委員長に対し、「事務の(杉田)副長官を国会に出す例はあまりない」などと答えていたが、過去にも官房副長官が野党に要求で国会招致に応じた例はある。

 西松建設の違法献金事件をめぐり、「自民党側は立件できない」との発言を報じられた漆間巌官房副長官が出席した2009年3月9日の参院予算委だ。

 漆間氏はこの時、「特定の政党を挙げて、どうのこうのとか、そういう話はしていない」などと発言内容を否定しつつ、「真意が伝わらない形で報道され、ご迷惑をかけた」と陳謝。当時も、メディアで<国会で官僚トップの事務の官房副長官が答弁に立つのは異例>と報じられたが、その後の参院予算委にも漆間氏は出席して答弁している。

 結局、与野党がその気になれば官房副長官だろうと誰であろうと国会招致できるのだ。

 自民党は、ちょうど学術会議の在り方を検討するプロジェクトチームを立ち上げたのだから、この際、どういう理由で6人を排除したのか。杉田氏は学術会議の在り方をどう考えているのかを問いただすのに良い機会ではないか。菅首相も「前例踏襲の打破」を掲げているのだから、意味不明な「国会の前例」こそ打破するべきだ。

日刊ゲンダイ
20/10/15 12:40 
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/280019