大阪市を廃止し、四つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う2度目の住民投票が告示された。11月1日の投開票に向け、焦点になっている構想のさまざなテーマを随時紹介する。



 大阪都構想が実現した場合、特別区移行に伴う住所表記の変更は大阪市民にとって大きな関心事だろう。大阪府・市は「地域の歴史を踏まえ極力簡潔になるよう努めた」とするが、愛着ある名前が変わることに抵抗を感じる市民もいる。

協定書にルール案提示

 変更のルール案は都構想の協定書に示されている。原則は各特別区名に現在の行政区名と町名を続ける。例えば、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」がある大阪市此花区桜島は淀川区に再編され、「淀川区此花桜島」となる。

 例外もある。淀川、北、中央、天王寺の各行政区名は特別区名と重複するため省き、行政区名と町名が連続する場合は行政区名を使わない。中央区に移る住之江区住之江は原則では「中央区住之江住之江」だが、「中央区住之江」とする。

 特別区名は今回、全て現在の行政区名が採用された。しかし、「北区東成深江南」になる東成区深江南のように三つの方角が含まれる表記も生じ、制度案を話し合う法定協議会では「混乱を避けるべきだ」などと新たな区名の検討を求める意見が挙がった。東京都の中央区と北区からは「同一名を避けてほしい」と再考を要請されたこともあった。

 住所表記は大阪維新の会の意向を踏まえ、住民投票後に市民から意見を聞いた上で2025年1月1日の特別区移行までに決めることに。これに対し、自民党は「住所は賛否の重要な判断材料」と反発し、告示前の決定を求めていた。

公的書類の手続きは未定部分あり

 一方、公的書類の住所変更手続きは誰が担うのか。12年に政令市に移行した熊本市では、宅地建物取引業免許や法人の事務所地などについて、役所に届け出るよう求められるケースもあった。府市は「運転免許証や国民健康保険証など公的なものはできる限り手続きが不要となるように調整する」と説明するが、具体的には現時点で決まっていない。

 毎日新聞などが9月上旬に大阪市内の有権者を対象に実施した世論調査では、都構想に反対した4割のうち19・3%が住所変更を理由に挙げ、「メリットが分からない」(32・8%)に次ぐ多さだった。【石川将来】

毎日新聞
2020年10月13日 18時50分
https://mainichi.jp/articles/20201013/k00/00m/040/121000c