https://news.yahoo.co.jp/articles/80d212f6e91c76030a5f5b229dfb421aa909b7e9
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月7日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。日本学術会議の任命見送りに関して、「内閣総理大臣に推薦どおり任命すべき義務はない」とする2018年の文書を政府が公表したニュースについて解説した。
日本学術会議の任命見送り、内閣府が2年前の見解文書を公表

2020年10月6日、発言する菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/06keizaishimon.html

日本学術会議が推薦した新たな会員候補の一部の任命を見送ったことについて、内閣府は10月6日、「総理に学術会議の推薦通り会員を任命すべき義務があるとまでは言えない」との見解を記した2018年の文書を公表した。6日に行われた野党の合同ヒアリングに提出された。

新行市佳アナウンサー)与野党でいろいろな議論がされていますが、佐々木さんいかがですか?

佐々木)誰もこのニュースを理解していないのではないでしょうか。そもそも日本学術会議を新行さんは知っていましたか?

新行)このニュースが出てどんなところか調べました。内閣府のなかにある機関であり、会員の皆さんが公務員だということを知りました。

佐々木)そうですよね。名前くらいは知っていましたが、何をしているのかは知りませんでした。10億円の予算などと言われていますが、実際の会員の人件費は4000万円くらいです。しかも準会員を含めると2000人くらいいるので、年間1人20万円くらいです。月にすると1万5000円とか2万円くらいです。政府の専門家会議に行くと、1万8000円くれます。私は総務省の情報通信白書という白書の編集員を長年やっていますが、1回行くと1万8000円いただけます。安いか高いかわかりませんが、学術会議の会員はそのくらいの名誉職です。
なぜ菅総理が就任早々、ここに突っ込んだのか謎〜菅政権の「罠」か

学術会議人事問題 「ついに敬意捨て去った」  日本学術会議の総会後、取材に応じる梶田隆章会長(左端)=2020年10月2日、東京都内 写真提供:共同通信社

佐々木)アカデミズムということは、大学の先生たちの世界では重要な権威かも知れませんが、あまり社会に影響力はありません。たまに提言をしていますが、ありきたりのことしか書いていなくて、その提言も誰も知りません。専門家の意見は大事ですが、霞が関では、それぞれの専門家会議のようなものを自分たちでつくって、そこで決めたことを政策に反映するので、あまり学術会議の専門性は扱っておらず、それほど政治には影響力はありません。しかも10億円というのは、家計で言うと巨額ですが、国家予算では微々たる金額です。なぜここに菅さんが就任早々、突っ込んだのかは謎です。しかも、反論されるのはわかりきったことですし、理由もはっきり言っていません。なぜあの6人を任命拒否したのかと言われて、菅さんは「いろいろな見地から」などと言っています。

新行)前例を踏襲するのはいいものかどうかという。

佐々木)私なりに考えてみたのですが、理由はないのではないでしょうか。ではなぜやったのかというと、ネットで少し出ている話ですが、菅政権の「罠」ではないかということです。今回のことはアカデミズムの世界、大学の先生の世界では重要だけれど、一般の人にはほとんど関係ありません。一方、菅政権は就任後どんな政策を打ち出しているかというと、不妊治療の保険適用、携帯電話料金の値下げなど、生活者目線でみんなが喜ぶ政策です。70%以上と支持率が高く、どんなことが起きても、生活者目線の政策を打ち出すかぎり下がりません。


(略)