河井克行前法務大臣と妻の案里議員の裁判で、陣営の会計を担当した事務所の元職員の証人尋問が行われ、元職員は党本部から振り込まれた1億5000万円について、収支報告書に目立たないように記載するよう陣営内で話し合われたと証言しました。

前の法務大臣の河井克行被告(57)と妻で参議院議員の案里被告(46)は、去年の参議院選挙をめぐって公職選挙法違反の買収の罪に問われ、いずれも無罪を主張しています。

東京地方裁判所で開かれた7回目の裁判では、去年4月から半年間、河井前大臣の事務所に雇われ、案里議員の選挙の会計を担当した女性の元職員が証人に呼ばれました。

検察は前大臣が陣営を取りしきる「総括主宰者」だったと立証しようとしていて、元職員は検察官の質問に対し「参議院選挙の会計などお金のことは前大臣に決定権があった。案里議員から会計について報告を求められたことはない。相談や報告したこともない」と証言しました。

また、弁護側からの質問では、自民党本部から2人の政党支部に合わせて1億5000万円が振り込まれたことについて触れ「前大臣の元政策秘書との話し合いの中で、『前大臣は1億5000万円を全部案里議員側の選挙費用の収支報告書に載せると違反になるのではないかと気にされている。1つの政党支部への記載は悪目立ちするので分けてほしい』と伝えられた」と証言しました。

次の裁判は今月15日で、克行前大臣の公設第2秘書の証人尋問が行われる予定です。

河井前法相 4回目の保釈請求

去年の参議院選挙をめぐる大規模な買収事件で起訴された、河井克行前法務大臣が9日、東京地方裁判所に保釈を請求しました。

保釈請求は4回目で裁判所は保釈を認めるかどうか、改めて判断することになります。

前の法務大臣の河井克行被告(57)は、妻の案里被告(46)が初当選した去年の参議院選挙をめぐり、地元議員や後援会幹部など合わせて100人に2900万円余りを配ったとして、公職選挙法違反の買収の罪に問われ、東京地方裁判所で裁判が開かれています。

河井前大臣は9日、ことし7月に起訴された後、4回目となる保釈請求を行いました。

今回の裁判は迅速に審理する「百日裁判」で行われ、9日までに7回、開かれて証人尋問が続いています。

今月16日からは、現金を受け取ったとされる、地元議員らの証人尋問が始まる予定です。

裁判所は9日の請求を受けて保釈を認めるかどうか、改めて判断することになります。

NHKニュース
2020年9月9日 18時08分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200909/k10012609201000.html