新政権発足直後に総選挙――。自民党総裁選(8日告示、14日投開票)で、菅官房長官の勝利が確定的となる中、永田町の関心事は衆院解散・総選挙の時期に移り、与野党議員が浮足立ってきた。「10月25日投開票」の他、日本維新の会とタッグを組む「11月1日投開票」、新型コロナウイルス対策の3次補正を打ち出し「12月6日投開票」などの説が飛び交っている。

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 安倍首相が辞意表明した直後から、永田町では「今後の政治日程」なるものが複数出回り、「10月25日衆院選投開票」と記されていた。自民党内がガタガタするのを引き締める目的や野党に対するブラフと見られていたが、共同通信の世論調査で内閣支持率や自民党支持率が急上昇し、朝日新聞の「ポスト安倍」調査で、菅氏が石破氏に10ポイント以上の差をつけてトップに躍り出ると空気は一変。6日は党三役の鈴木俊一総務会長が、テレビ番組で「新内閣ができてフレッシュで、評価が高い時に国民の信を問う。一つのタイミングだ」と言い出した。

こんな情報も流布されている。

<新政権発足後の9月18日(金)から3日間で選挙情勢調査。これによって、即時の解散を考えるもよう。その場合、翌週の25日(金)に再度国会召集。首相の所信表明と代表質問を行って、30日(水)解散、10月25日(日)投開票の選挙に踏み切る公算が高まりつつある>

 二階幹事長と麻生財務相は早期解散を望んでいるとされる。理由は共に、「次の選挙は自分が出馬し、その後、息子を後継にする。高齢なので早く選挙をやって、その道筋を確実にしたい」という個人的事情らしい。

■「都構想」住民投票の維新とタッグ

 投票日については11月1日説もある。この日は、大阪で「都構想」の是非を問う住民投票が予定されている。

 大阪市長の松井一郎代表ら「維新の会」と懇意の菅氏が、住民投票を盛り上げるために、総選挙を同日にする可能性があるという。

 実際、菅氏は維新について、6日の時事通信のインタビューで「政策が似ている部分がかなりある」と連携に期待感を示している。

「コロナ対策に全力」と主張している菅氏が、国会審議のアリバイを作った後に解散するという見方も。<10月19日に再度国会召集。コロナ対策、場合によっては3次補正を打ち出して11月9日に解散。12月6日投開票>という説だ。

しかし、である。自民党は、コロナ対策を理由に総裁選での街頭演説会を中止した。なのに「総選挙は大丈夫」というのは矛盾するし、身勝手な話。解散から投票日までの約1カ月間に、感染者が急増するリスクだってある。

「衆院の選挙は、首相の恣意的な日程設定がまかり通っている。そうした制度上の問題に加え、現状ですらコロナで選挙運動ができないのに、自分たちの政治の利益のために選挙を弄ぶのは、不謹慎も甚だしい」(政治評論家・森田実氏)

 世論調査では総選挙の時期について「任期満了まで必要ない」が圧倒的。ご都合主義がお家芸の自民党とはいえ、早期に解散すれば、国民から鉄槌を下されるだろう。

日刊ゲンダイ
20/09/07 15:00
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