大阪都構想の是非を問う2度目の住民投票が決まった。最大の理由は、都構想に反対してきた公明党が賛成に転じたことだ。住民サービスの維持や財政状況の見通しなどの課題は残ったまま。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるなか、不安視する声もある。

 「将来の大阪をどうするか、住民のみなさんに判断いただきたい。身の引き締まる思いだ」。大阪維新の会代表の松井一郎・大阪市長は市議会で都構想の制度案が可決された直後、こう述べた。表情を緩めることなく淡々と語ったが、看板政策が進もうとすることに、こう評してきた。「民意というのは大きい」

 都構想の制度案は5年前と根本的に変わりないが、異例となる2度目の住民投票にこぎ着けた。「民意」は維新にあるとして、突き進んできた。

 都構想は2015年の住民投票で僅差(きんさ)で否決された後、議論が停滞していた。そこへ、松井氏は「都構想の推進」を掲げて大阪府知事と大阪市長のダブル選挙を15年と19年に仕掛け、いずれも圧勝した。府内の衆院小選挙区で全国最多の4議席を持つ公明党が国政で維新と対決することを回避しようと賛成に転じ、府と市の両議会で賛成多数を形づくった。

 公明に対しては、この日の議会で傍聴者から「裏切り者」「恥を知れ」とのヤジも飛んだが、西崎照明・公明市議団幹事長は「住民のためにと議論を進めてきた」と理解を求めた。

朝日新聞
2020/9/3 22:39
https://www.asahi.com/articles/ASN936K1NN93PTIL00C.html