−−憲法改正では自民党の平成24年草案が唯一の案だというが、安倍晋三首相の「改憲4項目」の取り扱いは

 「自民党は民主主義政党なので、手続きの面でいえば、党議決定し、なおかつ国政選挙において評価をたまわったものが24年草案だ。政権奪還のときに正面から掲げたということは鮮明に記憶している。他方、イメージ案というのは、個人の感想みたいな話をしても仕方ないのであって、それはあくまでイメージなのだということで、このことについて総務会まで、あるいは政調において正式な決定を経たという認識を私は持ってないし、事実としてそうなんだろうと思っている。

 党大会で示したじゃないかと言うが、そこにおいて、このイメージ案について賛成の諸君の挙手を求めますとか、そういう議事が行われたとも承知していない。イメージ案4項目というものが、なかなか実行に移らないというのはどういうことなのか。

 私の問題意識としては、最高裁判所裁判官国民審査ってのは一体どうなのかということがある。(裁判官の)名前も知らない。形骸化しているじゃないのと。与野党の賛成が得られやすいもの(改憲項目)はたくさんあるのではないか。あるいは憲法改正に至らなくても、衆参の過半数の賛成で足りるものはありはしないだろうか。

 そういうことを精緻(せいち)にやっていかないと物事が進まないと思っている。国家にとって、民主主義にとって喫緊に必要なものは何か。それは精神論ではなくて実質論で、野党の理解を得る、そのことが必要だと思っている。

 私は憲法審査会でこの間、本当に久しぶりに質問したが、フリーディスカッション(自由討議)で得たものはいっぱいある。ああそうなんだねと思ったことがたくさんある。審査会の場を最大限活用するということも、国民に資するものだと考えている」

 −−河井克行、案里夫妻の買収事件。党費を払いたくないという意見がある中で党員投票がない

 「この問題はかなり深刻にとらえている。多くの首長、議員が責任をとって辞めた。信頼回復は決して容易なことではない。自民党は国政と同時にいろいろな地方政治にも責任を持っている。そこで自民党は今回の事件をどう反省したのか。地方にどんな迷惑をかけたのか。裁判でつまびらかになっていくことだから、ここで予断をもって言うことはしないが、反省すべき点は必ずあるはずだ。広島県連というよりも自民党全体の責任だ。


 カネで票が左右されることが仮に事実であるとすれば、あってはならないことだ。党員が払った党費が原資であるとするなら批判が出るのは当然だ。事実関係は裁判で解明されることだが、そこにおいて明らかになる事実に、自民党全体が真摯(しんし)に、誠実に臨まなければ、広島における信頼も国民全体の信頼も回復は難しい」

=(おわり)

産経新聞
2020.9.2 01:29
https://www.sankei.com/smp/politics/news/200902/plt2009020007-s1.html