韓国大統領府の姜■碩報道官は28日、安倍晋三首相が「韓日両国の関係発展のために多くの役割を果たしてきた」とし、辞任表明を「残念に思う」との声明を発表した。後任の首相と新内閣に対しても、日韓の友好関係の推進を目指して協力すると表明した。

文在寅政権は、元徴用工問題や輸出規制強化など両国間の懸案を巡る日本側の姿勢に変化が生まれるかどうかに関心を寄せている。南北関係改善への日本の支持獲得にも力を入れるとみられる。一方で姜氏は、安倍氏の早期の健康回復を願っていると述べ、気遣った。

日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた2018年10月の韓国最高裁判決以降、日韓関係は急速に冷却化。特に昨年夏に日本が輸出規制を強化したことを受け、安倍首相の糾弾集会が繰り返されるなど反発が強まった。

昨年12月に中国・成都で日韓首脳会談が開かれてからは、文氏が対話による打開を呼び掛ける姿勢が目立った。日本側の譲歩を引き出したい意向だったとみられるが、安倍政権は応じていなかった。韓国政府は、後継首相が柔軟姿勢を示すかどうかを見極める構えだ。

北朝鮮問題では、融和姿勢の文氏と圧力重視の安倍氏では立場の違いが大きかったが、韓国大統領府高官は「北朝鮮政策を巡る周辺国との意思疎通もおろそかにしない」と強調。残り2年を切った文政権の任期中に南北関係で成果を残すため、日本の新政権の支持も得たい考えとみられる。(共同)

※■は王ヘンに民

日刊スポーツ
2020年8月28日22時7分
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