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 野党は、安倍晋三首相の後継首相が選ばれる自民党総裁選の行方を注視している。新首相によっては、今秋にも衆院解散・総選挙に踏み切りかねない。立憲民主党と国民民主党は予定通り合流を終えた後、野党間の選挙協力態勢の構築を急ぎたい考えだ。

 立憲の枝野幸男代表は28日、首相の辞任意向を受けて開いた緊急役員会後、「安倍1強とされた政権が終わり、日本社会に大きなインパクトを与える。野党の責任は大きくなった」と記者団に語った。衆院解散の可能性を記者団に問われると、「いつあってもおかしくない」と気を引き締めた。

 国民の玉木雄一郎代表は「後継総理が誰になるのかを注視したい。『ポスト安倍』の政策をどうするのか。ただ『安倍内閣がだめ』は通用しなくなる。(野党にも)骨太の政策論や理念の提示がより求められる」と話した。

 共産党の志位和夫委員長は「我が党はあらゆる分野で正面から戦ってきた。今後も市民と野党の共闘で、自民党政治を倒したい」と主張。社民党の福島瑞穂党首は「森友、加計、桜を見る会の問題や関与について説明がない。安倍総理は最後に臨時国会を開いて説明責任を果たすべきだ」と訴えた。

 一方、安倍政権と親しい関係にある日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は「まずはびっくりした。人生はまだあるので、体調をもう一度戻し、ご自愛頂きたい」と話した。

 野党は、新首相が自民党総裁選の余勢を駆って衆院解散に踏み切ることを警戒する。立憲と国民は合流新党の結党大会を9月16日に予定しており、早期に衆院解散があると、共産党や社民党と選挙協力を組む時間を確保するのが難しい。合流新党とそれに加わらない国民議員による「玉木新党」とのしこりが解消できない可能性もある。

 また、野党連携の「大義」を整理し直す必要も生じる。例えば、野党は「安倍政権下での憲法改正に反対」で一致していた。憲法論議に積極的な野党議員もいたが、安全保障法制で憲法解釈の変更を重ねた安倍政権への反発は、野党内で共通していたためだ。

 枝野氏は周囲に「憲政の常道から言えば国民の審判を受けない総理はありえない。選挙だな」と緊張した面持ちでつぶやいた。志位氏は「野党は総選挙に対応できる構えを速やかに作るべきだ」と訴えた。【浜中慎哉、宮原健太、今野悠貴】