経済産業省の家賃支援給付金事業の民間委託で、広告大手の博報堂が入札に参加し落札できなかったことが24日わかった。この事業をめぐっては、ライバル関係にある電通の管理職が、博報堂の事業には協力しないよう下請け企業に圧力をかけた問題が判明している。

 衆院経産委員会で、野党側が家賃支援給付金事業の入札関係書類を明らかにした。入札には博報堂と人材サービス大手のリクルートが参加。落札したのはリクルートで入札価格は693億円だった。博報堂の入札価格は公表されていない。経営規模などをもとにした評価指標の「等級」は、リクルートはCで博報堂はそれより上のAだった。野党側は、委託先選びの経緯を詳しく明らかにすべきだと迫った。梶山弘志経産相は、「総合評価方式ということで価格のみならず様々な提案について採点した」と説明した。

 家賃支援給付金事業をめぐっては、電通社員がイベント企画大手「テー・オー・ダブリュー」(TOW)の社員に、博報堂が受注する可能性がある事業に協力しないよう発言。TOWの社員が発言をもとに文書にして、TOWの下請け企業に送っていた。

 持続化給付金事業の民間委託の入札では、サービスデザイン推進協議会とデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーの2社が応札。デロイトの入札価格は非公表で「入札過程が不透明だ」などと指摘されている。(新宅あゆみ、箱谷真司)

朝日新聞
2020年6月24日20時48分
https://www.asahi.com/articles/ASN6S6SRYN6SULFA01L.html