昨年7月の参院選で初当選した自民党の河井案里参院議員の陣営が車上運動員に違法な報酬を支払ったとされる事件で、公職選挙法違反(買収)罪に問われた案里氏の公設秘書、立道浩被告(54)に対する判決が16日、広島地裁であり、冨田敦史裁判長は懲役1年6カ月執行猶予5年(求刑懲役1年6カ月)の有罪判決を言い渡した。案里氏の当選を無効とする連座制適用の対象となる量刑判断を示した。

 検察側は被告を「遊説全般の責任者」と位置づけ、連座制の対象となる「組織的選挙運動管理者等」にあたるとし、今回の判決で禁錮刑(執行猶予を含む)以上の有罪判決が確定した後、検察側が提起する行政訴訟で勝訴すれば、案里氏の当選が無効となる。このため今回の訴訟で最大の焦点が量刑だった。

 検察側の冒頭陳述によると、被告は、案里氏の夫で前法相克行氏の元政策秘書高谷真介被告(43)=同罪で公判中=らと共謀。昨年7月、車上運動員計14人に対し、法定上限の2倍となる1日あたり3万円の違法な報酬を支払ったとされる。

 裁判では、弁護側は被告を従属的立場の幇助(ほうじょ)犯にすぎないとして、連座制の対象とはならない罰金刑を求めていた。

 これに対し、検察側は被告がいなければ車上運動員を遊説に従事させて違法な報酬を支払うことは実行されなかったなどとして、重要な役割を主体的に果たしたと指摘していた。(市原研吾)

朝日新聞
2020年6月16日13時53分
https://www.asahi.com/articles/ASN6J4H50N6DPITB016.html