陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の陸上自衛隊むつみ演習場(山口県萩市)への配備計画で、配備後の演習場での生活用水などの給水について、防衛省が萩市に求めたところ、市は供給水量に余裕がないと断っていた。防衛省は設備を修繕すれば給水は可能と市に確認したと説明するが、市は現時点では給水できないとの立場を示している。

 防衛省の計画では、イージス・アショアの運用・管理や、警備部隊としてむつみ演習場に約250人の自衛官を配置する。市は現時点で受け入れの可否は示していない。

 むつみ演習場が「適地」か調べた防衛省の調査報告書は、両者の協議概要を記載。朝日新聞が市に開示請求した資料では、市が防衛省の求めを断っていた。

 開示資料によると、防衛省と市は2018年11〜12月、演習場への給水について協議した。市は、地下水で賄うむつみ地区の1日計画給水量は約633トン(県認可の01年3月時点)と説明。そのうえで、1日平均給水量は600トン、余裕は約33トンしかないとして「現在の能力では分岐(供給)できない」と回答した。

 防衛省は配備後の施設に必要な給水量は市に示したが取材に明らかにしていない。市も明かしていない。

朝日新聞
2020年5月23日05時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN5Q735XN5MTZNB007.html