菅義偉官房長官は19日の記者会見で、検察庁法改正案の土台となった検察官の定年延長を容認する同法などの解釈変更について「検察官の人事制度に関わることであり、(国民や国会への)周知の必要はなかったと考える」と述べた。法務省は2020年1月、従来は認めていなかった検察官の定年延長を容認する法解釈案を示し、内閣法制局や人事院から了承を得ていたが、国会などには報告しておらず、野党からは行政府による「法改正なき解釈変更」(国民民主党の玉木雄一郎代表)への批判が出ている。

 菅氏は法解釈変更の周知の必要性について「国民生活への影響を踏まえ、必要に応じて周知が行われることがあるが、一概には答えられない」と説明した上で、今回の検察庁法などの解釈変更については「周知の必要はなかった」と述べた。これに関連し、18日の会見では「法解釈の変更に定まった形式はない。今般の(検察庁法などの)解釈変更は、検察庁法を所管する法務省が関係機関と必要な協議を行い、適正になされた」と述べていた。

 菅氏はまた、検察庁法改正案の今国会成立を見送ったことに関し、8月に延長後の定年期限を迎える黒川弘務東京高検検事長の人事への影響を問われ「全く影響はない」と語った。【秋山信一】

毎日新聞
2020年5月19日 14時20分
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20200519/k00/00m/010/103000c