検察官の定年延長を可能にする検察庁法改正案をめぐる13日の衆院内閣委員会で、委員の大西宏幸議員(自民)が、野党議員と担当相の審議中に戦記小説を読んでいたことが判明した。同じ日の委員会では、委員の平井卓也・前科学技術担当相(自民)が自身で持ち込んだタブレット端末でワニの動画を閲覧していたことに野党などから批判が出ている。与党委員の相次ぐ不謹慎な行為は、法案審議に影響を与える可能性もある。

 大西氏は審議中の同日午前9時52分ごろ委員席で黒色のカバーをかけた本を開いた。本は小説「皇国の守護者1 反逆の戦場」(中公文庫)とみられ、約20分にわたって読み続けた。

 衆議院規則は「議事中は参考のためにするものを除いて新聞紙及び書籍等を閲覧してはならない」と規定し、同規則は委員会の議事にも準用される。「皇国の守護者」は架空の世界を舞台にした戦記小説。同委員会で審議中の検察庁法改正案などとは無関係で、大西氏の行為は同規則に反する恐れがある。

 大西氏は大阪1区選出で当選2回。毎日新聞の13日の取材に対して「小説は読んでいない。読んでいたのは衆院のやつ」と説明した。その後、本のタイトルを伝えて改めて説明を求めているが、具体的な回答は返ってきていない。【大場弘行】

毎日新聞
2020年5月15日 12時45分
https://mainichi.jp/articles/20200515/k00/00m/010/121000c