「官邸の検察介入」 無理筋のシナリオだ
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三十年一月には上川陽子元法相が、刑事局長だった林氏と対立したことから同氏の次官就任を承認しなかったという。
上川氏は国際取引をめぐる紛争を当事者間の合意で解決する「国際仲裁センター」の誘致に熱心に取り組んだが、
林氏はこれを強硬に拒んだことが背景にあったとみられている。
一方の黒川氏は「人たらし」の異名をとるほど永田町に幅広い人脈を持ち、特に菅氏とは親密な関係があるとされる。
こうしたことが、検察内でやっかみを生んだとの指摘もある。
同関係者によると、検察内部では、上川氏との対立の一件で「政権が林氏に×を付けた」という見方が広がり、
黒川氏を次期検事総長とすべきだという声が強まった。林氏は、最終的に名古屋高検検事長へ異動した。
(中略)
官邸は本当に人事に手を突っ込んだのだろうか。
黒川氏が政治の絡む事件に積極的に取り組む武闘派≠ナあることを踏まえると、野党のシナリオには無理がある。
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐる汚職事件では、黒川氏が東京高検検事長として捜査を実質的に指揮。
検察内に慎重論もあった中で、自民党の秋元司衆院議員の逮捕に踏み切った。東京地検特捜部が現職の国会議員を逮捕したのは、約十年ぶりのことだった。
黒川氏は今回の事件に絡み、特捜部が宮崎政久法務政務官に事情聴取を行うことも認めた。
宮崎氏は逮捕に至らなかったが、自民党幹部は「法務政務官が特捜部に事情を聴かれただけでも、次の選挙には打撃だ」と肩を落とす。
政府関係者は「官邸に都合のいい検事総長を選ぶことができるなら、林氏の方がいい」と率直に打ち明ける。
事件に取り組む検察本来の役割を考えるなら、黒川氏は優秀な人材との見方は強い。