「安倍政権の迷走・無能ぶりは韓国でもいろいろと言われてますが、星野源さんとの動画には言葉を失いました。これが我が国の大統領じゃなくてよかったです。もし韓国の大統領が国家の一大事にこんなことをやったら、国民の怒りを買って大きなデモに発展していたことでしょう」

こう語るのは、韓国のテレビ局に勤務する韓国人女性だ。

韓国の新型コロナ対策は、出足こそつまずいたものの、その後、徹底的なPCR検査や国民の行動管理で巻き返し、収束の気配さえ見せている。その韓国から見て、日本と安倍政権の状況は、驚きをもって受け止められているーー。

例えば、日本政府が新型コロナウイルス対策として当初466億円も投じた「アベノマスク」。このマスクの不衛生ぶりがお隣の韓国でも報じられ、話題になっている。

未発送のものをすべて回収するというお粗末な展開を見せたマスクは、日本ではすっかり「ムダノマスク」となったが、お隣の韓国の視線は“冷ややか”とか“呆れ”とは違っていた。それを一言で表すなら“驚き”にほかならない。

韓国在住の日本人女性は布マスク2枚配布について「最初は冗談かと思っていました」と当初は笑い流したという。政府が方針を明らかにしたのが折しも4月1日のエイプリルフールと重なっていたからだ。

このニュースがフェイクではなく安倍首相肝いりの政策と分かると「本当に驚き、同時に恥ずかしくなりました」と彼女は振り返った。

新規感染者が徐々に減り、マスクの品薄状態が解消されている韓国で、日本政府が「各世帯に布マスクを2枚配布する」というニュースは衝撃でしかなかったようだ。

ちなみに、韓国では今あらためてマスクの効果が注目されている。

釜山で感染していることに気づかないまま生活していた親子が千人以上の人と接触したが、二次感染は一人しか出なかった。韓国の専門家は「親子がマスクをしていたからではないか」と分析している。

◆韓国人が抱いた素朴な疑問

当初、日本と韓国は新型コロナウイルスにおいて運命共同体のようだった。
ともに中国からの入国を阻止できなかった“水際対策の失敗組”といえる。その両国が新型コロナウイルスの感染力の強さを思い知ったのは今年2月のこと。

日本は横浜港に帰港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内で徐々に感染が広まり、死者も出た。

韓国では大邱(テグ)市の宗教団体で集団感染が発生。一気に感染者が1万人を超えるなどの大惨事となり、対岸の火事ではなくなっていた。国民からの批判を浴びたのは日本も韓国も同じだった。

ところが、韓国政府は次から次へと「PCR検査」を行い、感染者の「隔離」「治療」「情報公開」を徹底した。韓国は新規感染者が激減し、収束ムードが漂っている。政府によって配給されていたマスクも供給が安定し、今では街中で普通に購入できる。

一方の日本は、感染者の急増が止まらないだけでなく、死亡者も日に日に増えている。依然としてPCR検査のハードルは高く、検査を受けられずにいる“隠れコロナ”の存在も懸念されている。

マスクの品薄状態は今も続いており、街中では高値で販売している医薬品以外のショップも少なくない。

こうした状況にソウル在住の韓国人女性は首をかしげる。

「これだけ恐ろしいウイルスだってことは2月のうちに分かっていたはずなのに、韓国がウイルスと戦っていたこの2ヵ月の間、日本は一体なにをしていたんですか?」

彼女もまた、本気で驚いているのだ。

◆日本政府の対応を見て多くの韓国人が思い出す悲劇

韓国在住の日本人女性もこう話す。

「日本は政府の対策を正当化し、間違いがあっても、あやふやなまま進めてきた結果、結局は国民が犠牲になっているように見えます」

この女性は仕事で日本と韓国を行き来しており、日本の入国制限は死活問題だという。

安倍首相と星野源とのコラボ動画も韓国で大きな話題となっていた。

冒頭で、「もし韓国の大統領が国家の一大事にこんなことをやったら、国民の怒りを買って大きなデモに発展していたことでしょう」と、コメントした韓国のテレビ局に務める女性は、韓国で新型コロナウイルスの感染が収束しつつあるのは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の強いリーダーシップと、政府の素早いリカバリーにあると分析する。

2に続く

FRIDAY
5/2(土) 9:02配信
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