新型コロナウイルスの感染拡大への対応策を議論した28日の衆院予算委員会では、与野党から注文が相次いだ。検査拡充を求められたり、マスク調達について問い詰められたり。安倍晋三首相が、2カ月前と同様の答弁を繰り返す場面もあり、政府の置かれた苦しい立場が浮き彫りになった。

■「1日2万件」目標に達せず

 各地で「受けたくても受けさせてもらえない」との不満の声も上がるPCR検査。立憲民主党の枝野幸男代表から対応の遅れを問われた首相はこう語った。

 「医師が必要があると判断した患者は、受けられるようにしていかなければならない」

 従来通りの答弁に枝野氏がかみついた。「連日おっしゃっている。2カ月前からおっしゃっていることの繰り返しなんですよ」

 首相は2月29日の記者会見で「医者が必要と考える場合にはすべての患者がPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保する」と断言した。4月6日には「1日2万件」の検査能力を目標に掲げた。

 しかし、そうした目標には達していない。厚生労働省は今月25日時点で、1日に約1万5600件の検査ができるとしている。実際の検査件数は今月中旬以降の平日だと約7千〜約9千件。鼻やのどの粘液を採取する際に感染の危険があることから検体を採る場所を「帰国者・接触者外来」に限ってきたことや、専門技術を持った人材の不足が指摘されている。研修を受けた歯科医師が検体採取できる特例も認めるなど対応を進めるが、遅れは否めない。

 枝野氏は検査能力と実績の開きを挙げ、検査を受ける要件の厳しさを疑問視。「37.5度以上の熱が4日以上続く」とされる相談・受診の目安の変更を求めたが、加藤勝信厚生労働相は「必ず受診をしてほしいという目安だ。柔軟に判断するように、との通知も出した」と述べるにとどめた。

朝日新聞
2020年4月29日 7時30分
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