女優の岡江久美子さんが23日早朝、新型コロナウイルス肺炎のため、東京都内の病院で死去した。63歳だった。

 岡江さんは3日に発熱したが、医師から「4、5日様子を見るように」と言われ、自宅で待機していたという。本当は新型コロナを疑い、すぐにPCR検査をすべきだったが、1日当たりの検査数に限りがあるため、検査ができなかったのだろう。

 6日朝に容体が急変、そのまま緊急入院となった。すぐに集中治療室で人工呼吸器を装着され、その後、PCR検査で陽性と判明したという。所属事務所によると、岡江さんは昨年末に初期の乳がんで手術し、今年1月末から2月半ばまで放射線治療を受けていた。免疫力が低下していたのが、重症化した原因と思われるという。

 岡江さんの長女で女優の大和田美帆さんは、岡江さんが亡くなる前日の22日、自身のツイッターで、埼玉県の52歳の男性が軽症と診断されながら急死したニュースを引用し、「だから絶対かからないようにするしかないんです。うつさないようにするしかないんです。コロナ、怖いんです」と、つづっていた。

 岡江さんの容体が急変したことを心配し、新型コロナの恐ろしさを実感したのだろう。実際、このウイルスの怖さは、一気に重篤化するケースが多くみられることだ。岡江さんも3日で急変している。自宅待機していると、あっという間に手遅れになるのが、新型コロナだ。

■専門家「検査ができないならアビガン使用を」

「ちょっとでも異変を感じたら、すぐにPCR検査を受けるべきです」と医療ガバナンス研究所の上昌広理事長がこう続ける。

「現状のようにPCR検査に時間がかかるようなら、厚労省は即、アビガンを使えるようにするべきです。インフルエンザなら、診断が確定しなくても医師の裁量でタミフルを使えます。岡江さんは乳がんですから、ハイリスクだったのは間違いない。PCRができないのだったら、主治医がアビガンを処方できるようにするべきです。それで回復するかどうかはともかく、患者さんと家族の納得度が全く違います。海外に配る余裕があるのなら、自国の患者に使わないとダメですよ」

 美帆さんが引き合いに出した埼玉県の男性は症状が安定していたため、保健所はすぐ入院する必要はないと判断し、電話で毎日、容体を確認していた。亡くなる前日の20日、保健師に「具合が悪くなった」と伝えたが、「少し息苦しいが、今は大丈夫」と言い、翌21日に入院することが決まっていた。そして同日、連絡がつかないことを心配した父親が自宅で倒れている男性を発見し、病院で死亡が確認された。

 岡江さんも、もし早期にPCR検査を受けアビガンを投与されていたら、結果は違っていたかもしれない。早急にPCR検査を行える体制と、治療に専念できる環境を整えなければ、犠牲者が続出することになりかねない。

日刊ゲンダイ
2020/04/24 13:20 
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/272376/