なぜ「和牛商品券」なのか。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策で、自民党が和牛の需要を増やすための商品券発行を検討していることが分かった。


 党農林部会が26日にも方針を取りまとめ、政府に提言。これを受け、安倍首相は27日に予定される2020年度予算案の成立後、経済対策の財源となる補正予算案の編成を指示する見通しだが、分からないのはなぜ「和牛の商品券」なのかということだ。

 新型コロナウイルスの影響を軽減するために景気刺激するのであれば、何も和牛に限定しなくてもいいだろう。それに配るのであれば、商品券よりも現金の方がずっと使いやすいではないか。肉が食べられない国民にとっては、和牛商品券など紙くず同然だ。

「国民生活全体をみてどうしようかという視点ではなく、選挙などでアピールできる目玉は何かという視点だから意味不明な対策が出てくる。牛肉に関しては2018年12月末のTPP発効後、明らかに輸入肉の消費が増えており、和牛は苦戦を強いられている。自民党としては『和牛を守るために頑張りましたよ』と言いたいのでしょう」(経済誌記者)

 商品券というのも問題で、過去の国会では発行する経費の負担割合が度々、問題視されてきた。例えば、2019年に消費増税対策として発行された「プレミアム商品券」は、商品券の印刷代や換金手数料、人件費などで、予算額の3割強を経費が占めた。今回の経済対策は全体で30兆円と言われているが、仮に「和牛商品券」に1兆円が投じられるとすれば、経費は3000億円にも上る。


 これぞムダ金だし、新型コロナウイルスの対応に当たる医療機関などに充てるべきだろう。

 新型コロナウイルス危機を党利党略に使うなんてもってのほかだ。

日刊ゲンダイ
20/03/25 20:50
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/270971/