防衛省は10日、防衛装備品の取引契約がある三菱電機がサイバー攻撃を受け、防衛機密に関する情報が流出した可能性があると発表した。同社へのサイバー攻撃は1月20日に公表されたが、当初は機密の流出はなかったと説明していた。防衛省によると、三菱電機が調査した結果、同省が契約する装備品の研究試作品の入札に関する情報が漏れていたおそれがある。

防衛省は三菱電機と防衛装備品に搭載するセンサーなどの製造契約を結んでいる。契約に関する要求基準や試作品の性能などの情報が漏れていた可能性があるという。自衛隊が実際に使う装備品ではないが、要求基準を通して自衛隊の能力が推測され得る。防衛省は「安全保障上の影響について精査中」としている。

防衛省は取引企業に装備品の調達契約を結ぶ際に、機密情報の保全基準を満たす義務を課している。今年に入って、三菱電機以外にNECや神戸製鋼所でもサイバー攻撃を受けていたことが明らかになっている。

三菱電機は10日、「情報の保全措置が徹底できておらず、誠に申し訳ございません」とするコメントを発表した。サイバー攻撃について防衛省への詳細な報告を準備する過程で、機密情報が流出した可能性がわかったとしている。

日本経済新聞
2020年2月10日 21:41
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55488630Q0A210C2CC1000/