https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200130/mca2001302012026-n1.htm


 30日まで4日間行われた衆参両院の予算委員会で、野党は首相主催の「桜を見る会」や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業、河井克行前法相の公職選挙法違反疑惑など「政治とカネ」の問題を中心に追及した。対する政府は会の招待者選定や名簿をめぐって従来の答弁を繰り返し、防戦に徹した。感染拡大が進む新型コロナウイルスによる肺炎の対策や、令和元年度補正予算などの議論は深まらなかった。

 27、28日の衆院予算委で立憲民主党や共産党などは桜を見る会と公文書管理、IR、政治とカネの問題に焦点をあてた。国民民主党などが新型肺炎を大きく取り上げ始めたのは、中国・武漢に滞在していた邦人が政府のチャーター機で帰国した29日の参院予算委からだった。

 実は立民内にも先週の時点で対策本部を立ち上げ、予算委で質問すべきだとの意見があったという。立民中堅は「(その時は)全然反応がなかったのに、問題が大きくなって言い始めた。社会問題に対する意識が低すぎる」と嘆く。

 野党は昨年から「桜」の問題で政権批判を続けている。だが、最近の報道各社の世論調査でも内閣支持率は大きく下落せず、一方で野党の支持率はそれほど上昇していない。

 テレビ中継される予算委は国民が関心を持つテーマに関する議論や政策をアピールする絶好の機会といえる。自民党幹部は「(放送する)NHKが気の毒だ。民放にチャンネルを変える」と野党を挑発する。

 武漢から帰国した邦人については、他国同様、一時的に隔離すべきだったのではないかなど、さまざまな指摘が出ている。

 日本維新の会は28日の衆院予算委で、新型肺炎の感染拡大をめぐり緊急事態に対処する憲法改正の必要性を訴えた。

 一方、自民も「責任政党」としての役割を果たせたかどうか疑問が残る。IRをめぐっては、すでに関連法は成立したが、自民議員が逮捕された汚職事件を受け、国民の間に不安や反対意見が出ている。

 だが、予算委で、政府側から、IR事業者と政府関係者が接触する際のルールを基本方針に盛り込むなどの答弁を引き出したのは、自民でなく野党だった。

 衆参両院の予算委は31日に集中審議を行い、与党は週明けの2月3日から衆院予算委で2年度予算案の審議に入りたい考えだ。与野党には骨太の論戦が期待される。(田村龍彦)