「丁寧な説明をしていきたい」。疑惑が発覚するたびに繰り返しそう述べる安倍晋三首相だが、果たされた試しはない。今回の「桜」疑惑でも同じだ。「総理の発言は虚偽だ!」との声が地元から上がる。

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年頭記者会見で「桜を見る会」について「丁寧に対応してまいりたい」と述べた安倍晋三首相=1月6日。(首相官邸ホームページより)

〈日々、日本のため、山口のためにご奮闘いただいていることに敬意を表します。この度、さくらを見る会の件ではご心配でございます〉

国会で「桜」疑惑の追及が続いていた2019年12月中旬、首相である安倍晋三衆議院議員の地元(山口県4区、下関市・長門市)で、「『桜を見る会』問題の真実を求める下関・長門市民の会」(以下「市民の会」)が結成された。お膝元でこうした会ができるのは異例のことだ。現在の会員は約30人。立ち上げから約1週間後の12月25日、「市民の会」は冒頭の一文で始まる質問書を下関市の「安倍晋三事務所」に提出した。

回答期限は「1月7日正午」。〈貴事務所に受け取りにまいります〉。結果は後述するが、その前に質問内容を確認しておこう。

領収書が見つからない!

「安倍事務所に質問書を出すのは初めてで、何人かに聞き取りをしました。世論調査では7割もの人が『総理の説明は信用できない』と答えているのですから、地元としては放っておけませんでした」
「市民の会」共同代表の豊嶋耕治さん(64歳)はそう言う。豊嶋さんは下関市の元職員で、現在は「勝山ホタルを守る会」会長など自然保護活動にも力を注ぐ。

そうしてまとめた5項目の質問要旨は上記に掲げたが、内容は19年4月12日夜に東京・紀尾井町のホテルニューオオタニで催された安倍首相夫妻参加の「桜を見る会・前夜祭」での「領収書」や「参加費5000円」をめぐる疑問が中心である。

報じられているとおり、約850人とされる安倍後援会の会員を、公費を使った「桜を見る会」に無料招待し飲食をさせること自体が公職選挙法で禁じる「買収行為」に当たる疑いがある。また、前夜祭での会費をめぐる受け取り・支払いの経緯によっては政治資金規正法違反の疑いもかかる。

この会費と領収書について安倍首相は「安倍事務所が1人5000円を集金してホテル名義の領収書を渡し、集金した現金はその場でホテル側に渡した」(同年11月15日)と説明している。
しかし……。

「私たちが調べた限り、領収書が見つからない。『領収書はもらっていない』とか『もらった記憶がない』という声があちこちから出てきた」(豊嶋共同代表)

「総理の信用=地元の信用」である。説明しなければ不名誉につながる。すると、年明けの1月6日、“朗報”が飛び込んできた。安倍首相が年頭の記者会見で次のように述べたのである。

「桜を見る会については、国民の皆様からさまざまなご批判があることは十分に承知しています。世論調査の結果についても謙虚に受け止め、今後も丁寧に対応してまいりたいと思います」

翌7日に回答を受け取りに出向いた「市民の会」メンバーらは、「丁寧な対応」を期待したが、見事に裏切られることになる。

続きはソースで
2020年1月28日3:19PM
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