昨年7月の参院選で、選挙スタッフに上限を超える報酬を支払った公選法違反の疑いがあるとして、15日、広島地検の家宅捜索を受けた自民党の河井案里参院議員と夫の河井克行前法相。立憲民主党など野党国対委員長は16日の会談で、2人に対し、衆参両院政治倫理審査会で説明するように求める方針で一致した。

「説明になっていない単なるおわび会見だ」。立憲民主党の安住国対委員長が強い憤りを隠せなかったのが、議員宿舎で記者団の取材に応じた2人の質疑応答だ。

 疑惑発覚以来、2人はそろって国会を欠席。この間、歳費や文書通信交通滞在費、期末手当などで総額1400万円余りが支払われていたことに対し、国民の怒りは頂点に達しつつある。ところが、案里氏は「捜査に全面的に協力する」と言うばかりで詳しい説明は一切せず。議員辞職や離党についても「そのような考えはない」と語っていた。だが、案里氏は広島県議だった2006年12月の定例会で、当時の藤田雄山知事の後援会をめぐる問題を追及した際、こう迫っていた。

「この1年、知事の後援会のお金の問題に、議会はかかりきりでした。知事は、現在、辞職する意思はないとはっきりおっしゃっておられます。それでは、あなたが健全な民主主義のもとで公明正大に選ばれたのだという証明は、どのようになさるのでしょうか、教えてください。政治家の出処進退ですから、私から知事に辞職してくださいとは言いません。でも、私なら、もう辞めています。なぜなら、それが政治家の良心ではないかと思うからです。

真実を明らかにするか、それが無理なら出直し選挙か、この場合の政治家の責任のとり方は、多分そのどちらかしかないのです。自分は最大限に事実解明の努力をしたのだと言ってみせても、政治家にとって結果がすべてだということは、本当は知事が一番よく御存じのはずです。政治家として、名に恥じない御決断をしていただきたい、これが、広島県の象徴として、あなたをリーダーにいただく私たち広島県民の願いです」

 同じ年の3月の予算特別委でもこう発言している。


「知事は、今4期目でございますので、つまり、これまで3期分の退職金をもらわれていますね。その額は、1億円以上に上ります。それほどの退職金を受けた方からすれば、7000万円の使途不明金、裏金疑惑は大きな問題ではないかもしれない。でも、県民は許すでしょうか(略)私が一言申し上げるとするならば、知事、男らしくなさいよ。私が、もし広島県知事でしたら、恐らく辞職をしています。男らしくしなさい、これだけです」

 過去の発言と今の政治姿勢はまったく真逆だが、国民もかつての案里氏と同様にこう言いたいはずだ。

「これまでの歳費を国庫に返納し、夫婦そろって早く辞めなさい」

日刊ゲンダイ
20/01/16 16:00
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