菅義偉官房長官が10日午前の閣議後会見で、「桜を見る会」の2013〜17年度の5年分の招待者名簿の管理・廃棄について、公文書管理法が義務づける手続きをとっておらず、同法違反にあたることを認めた。憲法学者の木村草太・首都大学東京教授は政府の対応について、憲法が保障する「知る権利」を侵害するものだと指摘する。

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 国民には、政府のやっていることを評価し、検証する権利がある。しかし、基本的な公文書が残っていなければ、国民は政府を評価できない。桜を見る会のあり方に問題があろうとなかろうと、招待者名簿などを残していないとする政府の対応は、公文書管理法違反というだけでなく、憲法が保障する「知る権利」の侵害ではないか。

 桜を見る会をめぐっては、招待基準にある「功績、功労」に関係なく、安倍晋三首相の事務所の関係者などが優先的に招かれていた疑いがある。これが事実なら、憲法14条の定める平等原則に違反することは明らかだが、公文書が公開されないため、国民が違憲性・違法性を判断できない状況が続く。

朝日新聞
2020年1月10日19時47分
https://www.asahi.com/articles/ASN1B6D21N1BUTFK01K.html