首相主催の「桜を見る会」をめぐり、菅義偉官房長官は10日、招待者名簿の取り扱いが公文書管理法に違反していたことを認めた。「ルールに基づき適切に保存・廃棄」としていた説明が、根底から覆る異常事態だ。「国民共有の知的資源」である公文書の管理で、何が起きているのか。

 「桜を見る会」の追及に連日さらされている菅氏は10日の記者会見で、「廃棄の際に事前同意の手続きも経ていなかったということだ」と語った。「桜を見る会」の2013〜17年度の5年分の招待者名簿の廃棄について、公文書管理法が義務づける首相の同意(実務的には内閣府の同意)を得る手続きを取っていなかったことを認めた。

 公文書管理法は、保存期間が1年以上の公文書について、名称や保存期間、保存期間が過ぎた後の取り扱いなどを「管理簿」に記載しなければならないと定めている。廃棄した場合は、「廃棄簿」に記載するよう政府のガイドラインは定めている。

 菅氏は7日と9日の会見で、招待者名簿を「管理簿」や「廃棄簿」に記載していなかったことを認めたばかり。ルールを無視して公文書を管理していたことを1週間で3度も認める異常な事態に陥っている。

 「桜を見る会」をめぐる公文書の扱いについては、説明に後ろ向きな政府の姿勢が際立っている。菅氏は今週に入っても周囲に「省令違反のようなものだと聞いている」と語っていた。9日の会見では、政府の対応が違法かどうか重ねて問われたが、「内閣府の文書管理規則に沿った対応がなされていなかった」と述べるだけだった。

朝日新聞
2020年1月11日06時30分
https://www.asahi.com/articles/ASN1B5D15N1BUTFK00T.html