https://news.livedoor.com/article/detail/17606166/


 首相主催の「桜を見る会」疑惑が安倍晋三首相を直撃し、昨年12月9日の臨時国会閉会後も、内閣支持率が急落を続ける中の年明けです。国会閉会中にも続けられた野党の調査で、桜を見る会への招待状に付された区分番号「60」が、2005年の行政文書でも「首相推薦枠」であったことが判明。悪徳マルチ企業「ジャパンライフ」の会長が安倍首相によって招待された疑いがますます濃厚になっています。

 さらに昨年末25日には、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)事業をめぐり、自民党の秋元司衆院議員・元内閣府副大臣(IR担当)が収賄容疑で逮捕されるという重大事件が発生。他の自民党議員事務所にも捜索が入り、政界は騒然となっています。

 安倍政権が「成長戦略の目玉」などと位置づけ、国民の厳しい批判を全く無視して強行したカジノ解禁が引き起こした重大な汚職疑惑です。政策の根本的見直しを含め、カジノ利権の闇の徹底解明の責任が政権与党に問われます。
不透明性増す

 20日に召集予定の通常国会では、予算委員会で全野党による結束した首相への追及が再開されます。安倍首相による政治の私物化の実態解明と対策は、まともな政治を取り戻すための国民的な緊急課題となっています。

 他方、安倍首相は、臨時国会閉会の記者会見(昨年12月9日)で「来る通常国会の憲法審査会で、与野党の枠を超えた議論を通じ、憲法改正原案の策定を加速させたい」「憲法改正を、私の手で成し遂げたい」と改憲への執念をむき出しにしました。また、「国民の信を問うべき時が来たと考えれば、解散・総選挙を断行することに躊躇(ちゅうちょ)はない」とも語りました。

 こうした発言を受け、メディアや永田町関係者の間では、改憲と解散・総選挙が今年の政局の焦点となるとの見方が支配的でしたが、「とてもそれどころではない」という空気が急速に強まっています。

 首相任期が来年9月に迫るなか、相次ぐ重大疑惑の発生で首相の政治的求心力が低下。自民党内では「ポスト安倍」への動きも始まりつつあります。4国会連続で改憲案提示ができないなど、改憲戦略はすでに大きく追い込まれています。まさに政治、政局は流動化し、不透明性を増しています。しかし、来年秋までに総選挙がやってくる可能性は濃厚で、さまざまな思惑が交錯します。
支持上下の元

 「改憲を成し遂げるという首相の発言は、本心だ。ただ、そう言わざるを得ない面がある」。こう語るのは自民党の日本会議議連関係者の一人です。「現実には改憲は全く動いていない。発言をトーンダウンさせたら本当に動かなくなる。旗は強く持っておかなければならないし、もっと高く掲げておかなければならない」と語ります。

 また改憲派議員の一人は「首相は本気で(改憲を)やるつもりだ。ただ、どうやって進めるかというと明確なものはない」と述べます。

 早期の解散・総選挙については「政権浮揚、改憲推進の切り札だが、首相への強い不信があるいま、選挙を行って議席を減らせば、改憲も難しくなり、そうなれば安倍政権も終わりだ。簡単にはできない」という声も漏れます。

 他方、別の自民議員は「支持率が低下しても、やがて上がるのが安倍政権の強みだ。それは野党が弱いから。野党が共闘でまとまりきれるか。この点で共産党がカギを握る」と緊張感を見せました。

 安保法制=戦争法の強行をはじめ、安倍首相による立憲主義の破壊に対して、立場を超えた市民と野党の共闘が発展し、安倍首相を追い詰めてきました。

 「下がっても、また上がる」という安倍内閣支持率の“らせん運動”の根本には、国民からみて、安倍政治に代わる新たな政治の受け皿の「不在」という政治状況があります。


(略)